TNFRI SAGE Home Page

あなた様は 人目のお客様です。(2001年6月15日から)

TNFRI SAGE(Subarctic Gyre Experiment)

科学技術振興調整費「太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する調査」

中課題名 : 亜寒帯循環と亜熱帯循環の相互作用に関する実態研究
小課題名 : 混合水域における中層水の形成過程に関する研究

研究の目的

「北太平洋中層水の定量的な把握」

本州東方沖では、親潮分枝として南下してくる低塩の親潮水が、黒 潮系の比較的高塩な水と混合することによって、新たな特性を持つ塩分 極小水(33.8-34.0psu)が形成される。この塩分極小水すなわち北太平洋 中層水(NPIW)の中には、混合水域に流れ込むものと、亜熱帯循環に取り 込まれるものがある。しかしながら、その定量的な把握はまだなされて いない。本課題では、この中層水の変質過程を定量的に把握することを 目的とし、種々の観測を国際共同研究のもとに行う。
この研究課題の成果として、亜寒帯循環と亜熱帯循環での海水交換 が定量的に評価でき、亜寒帯循環が亜熱帯循環へ、ひいては気候変動に 与えるインパクトの推算に貢献できる。

modified from Yasuda et al.(1996)

研究計画

オホーツク海からの流出水の経年変動の把握

既存の資料及び衛星データ(NOAA,T/P,ERS-1,etc.)よりウルップ 水道付近でのオホーツク海からの流出水の経年変動を把握する。
関係機関:北水研
実施期間:1997-2002

親潮の流量把握

OICE:Oyashi Intensive observation line off Cape Erimo
襟裳岬から南東に延びるTopex/Poseidon衛星の軌道060に 沿って、CTD繰り返し観測及び係留系観測を行い親潮 の流量を把握する。同時にT/P海面高度計データによる 流量算出の可能性を評価し、T/Pデータによる親潮流量の モニタリングの可能性を探る。
関係機関:北水研, 中央水研, 気象研
関係協力機関:函館海洋気象台, 北大水産, 岩手県水技セ
実施期間:1997-2002
親潮集中観測(中央水研,WHOIが主体 => 蒼鷹丸)
根室半島南東沖から黒潮続流にかけて、SEASOAR(曳航式 CTD)及びADCPを用いて、親潮の流量観測を行う。SEASOAR を用いることによって、6km間隔の温度・塩分の情報を得 ることができ、従来みることのできなかったsnap shotを 描くことができる。この観測によって、微細構造,小規模 現象が中層水形成に果たす役割を見いだすことが可能に なる。       
また、同時期に東北水研若鷹丸が黒潮続流域を観測を行い、 中層水全体としての定量的な把握を可能にする。
関係機関:中央水研, 東京大学
関係協力機関: Woods Hole Ocean Inst.
実施期間:1998

黒潮続流域における中層水の流量収支の把握

黒潮続流域の集中観測領域(IOA)において南北断面観測を実施し、 中層水の変遷を追跡するとともに、黒潮続流域で変質をうけた 中層水の流量収支を把握する。
Yasuda et al.(1996)によって、中層における黒潮と親潮の合計流 量は17.8Svと見積もられている。また、Tally(1995)によって、 中層水の混合域への流出は6.1Svと見積もられている。Yasuda et al.(1996)では、両者の見積もりから残差として、約12Svの中層水 が亜熱帯循環に取り込まれると推測した。しかし、これらの見積 もりは地衡流計算に準拠している。本観測では、これらの流量収 支をADCP及びL-ADCPを用いて直接観測する。
L-ADCPを用いた絶対流速観測をUniv of Hawaiiと共同で行い、流 速を深層まで直接観測する。L-ADCPを用いた続流域での観測は初 めてのものであり、今までに観測されなかった現象が観測される ことも期待できる。
L-ADCPを用いた直接観測流速場と地衡流流速場の残差から、従来 算出が困難であった非地衡流流速場を算出できる。この非地衡流 場の算出は。続流にそって行われる南北海水交換のメカニズムの 同定に大きく貢献することが期待される。
1998年には、蒼鷹丸(中央水研,WHOI乗船)と同時期に観測を行い、 中層水の総合的な流量収支の把握をする。
関係機関: 中央水研
関係協力機関:Univ. of Hawaii, Woods Hole Ocean Inst.
実施期間:1997-2002

混合水域における中層水の変質過程の把握

黒潮続流が消滅する170W以東までの (E-line)東西断面観測 を行い、混合水域における中層水の変質を追跡する。また、L-AD CPによる深層までの流量観測を行うことによって、南北熱輸送量 が算出できる。 同時に、混合水域に流入した中層水のその後の移動も把握でき、 混合水域に流入した中層水の何割がどのようなルートで亜熱帯 循環に流入するか把握できる。
関係協力機関:Univ. of Hawaii
実施期間:1998

Link to Related Servers

Project

東北水研Home Pageへ戻る

混合域海洋環境部Home Pageへ戻る


(Shin-ichi Ito)