シンポジウム「八戸イカ関連水産業の課題と展望」の開催報告

 八戸市は、今なお日本一のイカの水揚げを続けていますが、漁獲量自体は減少の一途を辿っています。この漁獲量減少を補う形で、イカ製品の輸入量が増加しています。このような構造転換は、イカ漁業ばかりではなく、水揚げの現場の市場、イカ加工業、流通小売業、サービス業に加え、関連する漁船資機材や冷凍施設産業など、産業集積と地域の関連機関が密接な関係を形成する八戸の水産業クラスターそのものを縮小させる恐れがあります。そこで、八戸のイカ関連水産業を事例として、関連分野の産業の現状を総括し、抱える課題の打開策などについて意見交換が必要と考えました。このため、平成27年11月30日に、東北区水産研究所が主催し、八戸市および青森県産業技術センターと共催で上記の課題と展望について討議を行うシンポジウムを開催しました(写真1)。


写真1:会場の風景


開催概要

 本シンポジウムには、地元の未来を担う八戸水産高校の生徒らも参加して、各業界団体合わせて約150名の参加者がありました。はじめに、3つのセクター(イカ資源から漁業、イカ漁業から原料供給、イカ原料から加工・流通)についてそれぞれ研究の現状が報告されました。次に、イカとは少し離れた視点から、イカと対比しながらの八戸のサバの持つ高い経済効果や日本の農林水産物の輸出産品中の金額ベースで他を大きく引き離しているホタテの輸出戦略などの講演をもとに質疑応答が行われました。また、最後の1時間は、業界代表6名と研究者代表6名によるパネルディスカッションを行い(写真2)、中型いか釣船のスルメイカ漁に対する「漁場情報提供」、時代に即した効率的な「兼業船の可能性」、ひっ迫するイカ原料確保のための「新漁場開発」、総合的な付加価値向上施策の元での「スルメイカ活魚輸送」などについて意見交換をしました。本シンポジウム終了時に実施したアンケートでも多数の意見が寄せられ、これらを集計しながら、今後、課題を絞って関係団体との小規模な研修会や意見交換の場を継続して作りたいと考えています。


写真2:パネルディスカッションの様子


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