【研究調整】

平成16年度東北ブロック水産業関係試験研究推進会議について

企画連絡室長 内田 卓志



 標記会議を平成16年12月9日(木)〜10日(金)にホテルグランドパレス塩竃(塩竃市)において開催しました。出席者は13機関29名でした。結果の概要を項目毎に以下に示します。
 
1.試験研究体制の現状と問題点に関すること
 各機関における「人材育成・確保」について,現状と問題点及び今後の解決方向等について事前に照会し,集約した結果に基づいて,問題点と考え方等について意見交換を行いました。その結果,人材育成・確保の目的や対応等について,さらに各機関で検討の必要のあることなどが明確になり,今回の結果を今後の各機関での対応に生かしていくこととしました。また,ブロック内の相互協力の重要性を再確認しました。
 
2.試験研究の重要課題に関すること
 (1)各部会から,以下の事項が報告され,了承されました。
  a 今後の海洋観測態勢(特に定線観測について):これまで培ってきた海洋情報に係る連携体制は維持する。
  b 動物プランクトン群集の長期変動解析の推進:データ交換について,今後も引き続き連携して行っていく。
  c 海洋環境と生物との関係の研究推進:東北水研が行っている「オキアミ漁況報告」に関して各県機関の要望を取り入れて実施する。
  d ワカメ等大型海藻の育種基礎技術開発への対応:今後,どのような協力が可能か協議する。大型海藻研究連絡会を情報交換,連携の場として相互に積極的に活用していく。
  e カキのノロウイルス対策(浄化技術開発)への対応:情報交換会を17年度に開催する方向で検討する。
 
 (2)また,以下の事項が提案され,ほぼ原案通り承認されました。
  a 東北・北海道における貝毒毒性値と原因プランクトンの出現状況との関係整理:広域的な貝毒発生の予察に資するため,各機関が長年にわたって蓄積してきたデータをマクロの視点で解析する。そのため,次の作業を連携して実施する。
  ・各機関で蓄積してきている環境,原因プランクトン出現密度および貝毒毒性値を同一フォーマットのデータセットとして作成し,解析のベースを作る。
  ・貝毒原因プランクトンが高密度に出現する時としない時の環境条件を整理する。
  ・広域的な貝毒発生と環境の特徴との関係を解析する。
  b 東北海域のズワイガニの生物特性の解明:東北海域でTAC対象種として重要なズワイガニの生態を各機関が連携して明らかにし,ズワイガニの資源量推定の精度向上に資するため,各機関が採集したズワイガニの標本を東北水研八戸支所に送付して測定等を行い,データ解析を行う。

 (3)試験研究の成果について,水産試験場等から12課題,東北水研から3課題の研究成果情報が提出され,内容を確認した結果,他の推進会議に係るものを除き,全ての課題を東北ブロックの研究成果情報として採用することとしました。