【研究調整】

平成16年度東北区水産研究所機関評価会議について

企画連絡室長 内田 卓志



 独立行政法人水産総合研究センター(以下「水研センター」)では,外部委員を加えて,センター機関評価会議(センター全体の運営及び研究に関する評価),研究所機関評価会議(研究所毎の運営審議と担当課題の総合的評価),研究評価部会(研究部・支所毎の研究課題の評価)を毎年開催しています。このうち,東北区水産研究所(以下,「東北水研」)の平成16年度研究所機関評価会議は平成17年3月12日(土)に東北水研会議室で開催しました。その出席者と議事概要は以下の通りです。

1.出 席 者:
外部委員;大森迪夫(東北大学大学院教授),五十嵐輝夫(宮城県水産研究開発センター所長),上村俊一(岩手県総合雇用対策局長),成澤信輔(全国さんま漁業協会専務理事),船渡隆平(宮城県漁業協同組合連合会専務理事)
東北水所;中野広(所長),武内智行(企画連絡室長),瀬川幸人(総務課長),平井光行(混合域海洋環境部長),佐古浩(海区水産業研究部長),北川大二(八戸支所長)
事務局;手島和之(企画連絡科長),高橋輝樹(情報係長)

2.議事の概要:
 委員の互選により,大森委員を座長に選出した。
1)東北水研機関評価会議について
 企画連絡室長から,水研センターの評価システムの概要並びに研究所機関評価会議の目的と役割について説明した。また,中期計画及び16年度年度計画の概要を紹介した。さらに,会議の進行と意見の提出について説明し,委員の了承を得た。
2)平成15年度の東北水研機関評価会議のフォローアップ
 企画連絡室長から,15年度の指摘事項とそれらへの対応状況を説明した。限られた人員の中で個々の研究者が良くその責務を果たしているとの意見をいただいた。
3)平成16年度の研究所の運営について
a 東北水研の運営態勢
 企画連絡室長から,各部署の組織と役割,研究活動の仕組み,研究推進態勢と連携協力関係,組織体制,活動方針立案と対応,部課長会議と部課長ミーティング,各種委員会,企画連絡室業務,調査船運航,予算,職員研修・資格取得,施設・機械の共同利用,業務外注・外部委託等について説明し,質疑・応答を行った。委員からの主な意見は以下の通りである。
1)年度の初めに所の活動方針や各部署の方針が示され,東北水研ニュースで公表されており,所の目指すところが明確になっている。
2)広報活動も活発に行われているが,こうした広報等が成果を受ける顧客側に満足されているかを検証する必要がある。
3)長期的な展望に立って年次努力目標の設定が必要である。
4)ブロック内関係研究機関との共同研究契約等は評価できるが,より実効あるものとすることが必要である。
5)漁業者ニーズをどう把握するか,水研の研究実態をどう把握して貰うかが重要である。
6)試験研究に係わる外注業務について,研究者が直接行うべきこととの仕分けを十分検討すべきである。
7)外部資金の重要性が増す中で,益々研究成果が求められる状況にある。
b 東北ブロック水産業関係試験研究推進会議
 企画連絡室長から,東北ブロック水産業関係試験研究推進会議の構成と開催状況等について概要を報告した。
4)平成16年度の研究等の活動について 
a 東北区水産研究所研究評価部会報告及び中課題の評価
 企画連絡室長が全般的な説明を行った後,部長・支所長がそれぞれ担当の中課題報告書を説明し,委員の了承を得た。委員からは次のような意見が出された。
1)目的とした成果が得られなかった場合等に,それがなぜかという点での分析・評価を行うべきと考えられる。
2)サンマの漁況予報について,かなり的中している等,高く評価される。
3)オキアミの生産量を見積もることができれば,漁業者に大きな朗報である。
4)二枚貝の養殖において,微小動物プランクトンの重要性について知見を蓄積し,適正養殖規模の推定に寄与することを期待する。
5)海況の変動についての研究では,地方水試との連携が図られるとともに,地方水試のレベルアップに貢献している。
6)下痢性貝毒の一斉分析法の開発では,検査時間の短縮に大きく貢献した。
b 各部・支所の活動報告
 企画連絡室長が,全般的な説明を行い,その後,部長・支所長が担当部署の活動報告を行った。委員からは,以下の意見を頂いた
1)研究報告等目標数値を大きく上回り,成果が上がっていることを強く感じる。
2)資源研究など研究報告になりにくい分野では,評価の工夫が必要。
3)職員間の情報共有,国民への広報等,従来にない努力がなされている。
5)東北水研活動の総括
 企画連絡室長が,以上の説明も含め,年度計画の各項目に沿った総括表を説明した。
6)外部委員による評価及び講評
 研究課題の評価案については,委員の方々に了承して頂いた。また,以下の意見・アドバイスをいただいた。
a 限られた人員の中で良くその責務を果たしている。
b 地元の水産試験場や行政と連携を持って,成果の報告を行う場を設けたり,タイムリーな講習会を開催することが望ましい。
c 海洋観測等モニタリングは継続することが重要であるが,予算が確保されるよう,強く働きかける必要がある。
d サンマ資源の活用の勧告,貝毒簡易分析方法の開発等ユニークな発信がなされている。
e 顧客の視点を大事にして,その満足度を高めるとともに,職員の仕事に対する満足度も高めるための工夫が望まれる。
f 現場に直結する成果が得られるよう,調査研究内容の検討に努めて貰いたい。
7)終わりに
 所長から委員の出席及び積極的な意見に対し,お礼を述べるとともに,以下の総括的な回答を行い,会議を終了した
a 頂いた意見を今後,部課長会議等でよく検討し,所の運営改善と研究推進に活かしていきたい。
b ブロック内の様々な課題について,関係試験研究機関等との連携協力のもとに,対応して行きたい。
c ブロック推進会議等のより効率的な運営に努める。
d 漁業者の方々のニーズを的確に把握するとともに,得られた成果の還元に努力する。
e 成果の公表・普及については,様々な層に対応できるよう,工夫を重ねたい。