【研究調整】

平成15年度東北区水産研究所機関評価会議について

企画連絡室長 武内 智行


 独立行政法人水産総合研究センター(以下「水研センター」)では,外部委員を加えて,センター機関評価会議(センター全体の運営及び研究に関する評価),研究所機関評価会議(研究所毎の運営審議と担当課題の総合的評価),研究評価部会(研究部・支所毎の研究課題の評価)を毎年開催しています。このうち,東北区水産研究所(以下,「東北水研」)の平成15年度研究所機関評価会議は平成16年3月10日(水)に東北水研会議室で開催しました。その出席者と議事概要は以下の通りです。

1.出 席 者:
 外部委員;大森迪夫(東北大学大学院教授),武井篤(岩手県農林水産部水産局長,書面参加),成澤信輔(全国さんま漁業協会専務理事),早坂正典(宮城県水産研究開発センター所長),渡邉宏(宮城県漁業協同組合連合会専務理事)
 東北水所;中野広(所長),武内智行(企画連絡室長),今田了(総務課長),平井光行(混合域海洋環境部長),佐古浩(海区水産業研究部長),北川大二(八戸支所長),種市敏彦(若鷹丸機関長,船戸健次若鷹丸船長代理)
 事務局;手島和之(企画連絡科長),高橋輝樹(情報係長)

2.議事の概要:
 委員の互選により,大森委員を座長に選出した。

1)東北水研機関評価会議について
 企画連絡室長から,水研センターの評価システムの概要並びに研究所機関評価会議の目的と役割について説明した。また,中期計画及び15年度年度計画の概要を紹介した。さらに,会議の進行と意見の提出について説明し,委員の了承を得た。

2)平成14年度の東北水研機関評価会議のフォローアップ
 企画連絡室長から,14年度の指摘事項とそれらへの対応状況を説明した。委員からは,指摘された事項はいずれも単年度で十分に対応できる性質のものではなかったが,現在の人員,体制の中で可能な限り努力し,対応していることが伺えるとの意見をいただいた。なお,SRSVの対策は重要であり,研究実態が伴うよう検討してほしいとの要望があった。

3)平成15年度の研究所の運営について
@東北水研の運営態勢
 企画連絡室長から,各部署の組織と役割,研究活動の仕組み,研究推進態勢と連携協力関係,組織体制,活動方針立案と対応,部課長会議と部課長ミーティング,各種委員会,企画連絡室業務,調査船運航,予算,職員研修・資格取得,施設・機械の共同利用,業務外注・外部委託等について説明し,質疑・応答を行った。委員からの主な意見は以下の通り:1)所内の意志決定と周知,意見集約のシステムはうまく機能しているようにみられるので,一層の推進を期待する。2)予算執行のチェックと柔軟な執行の双方を満たすシステムを確立することが必要。よりよい実績を上げるため自由で独自性のある工夫も必要。3)「船舶管理費」については,より合理化・効率化を検討する必要がある。4)ブロック推進会議の活動を強化し,実質的で,かつ,効果のある連携・協力をさらに推進する必要がある。また,指導等も必要。水研センターが中核となって,連絡調整を図るとともに,研究の成果,全国的レベルでの情報を,わかりやすく,積極的に漁業者,団体に提供していくべき。5)研究ニーズの把握について,漁業者,業界からの直接ニーズの吸い上げのための工夫が必要。
A東北ブロック水産業関係試験研究推進会議
 企画連絡室長から,東北ブロック水産業関係試験研究推進会議の構成並びに本会議及び同部会等の開催状況と結果概要を報告した。

4)平成15年度の研究等の活動について
@東北区水産研究所研究評価部会報告及び中課題の評価
 企画連絡室長が全般的な説明を行った後,部長・支所長がそれぞれ担当の中課題報告書を説明し,委員の了承を得た。なお,委員から以下のコメントを頂いた:1)「混合域における増養殖技術開発と貝毒成分の蓄積分解機能の解明」は,産業的に重要でかつ異質な小課題が詰め込まれすぎており,1つの中課題として評価することが適切なのかは,やや疑問。2)ワカメの遺伝研究が,早期に優良種苗開発,トレーサビリティーに応用可能なレベルになることを期待。3)放流ヒラメについて,モデル結果と実測回収尾数の関係を検証して欲しい。4)貝毒の検出技術の開発について,マウスに代わる検査法の開発は大きな産業貢献が期待でき,早期実用化を期待。
A各部・支所の活動報告
 企画連絡室長が,全般的な説明を行ったのち,部長・支所長が担当部署の活動報告を行った。なお,主要な研究成果を参考資料にまとめて示した。委員からは,以下の意見を頂いた:1)多くの研究課題を少人数でこなした場合,虻蜂取らずになる危険性が常にあるが,そのような心配を感じさせない程研究をこなし,計画を推進している。2)産業研究所として,水産業にいかに貢献し,課題に応えるのかを明確に位置づけ,これに基づき課題の優先順位付けを行ってほしい。また,優先度の高い課題には思い切ったヒト,カネの重点化を図ってほしい。3)分析・鑑定等の依頼については,より広範囲に,かつ,積極的に対応したらどうか。また,受託事業についても同様。

5)東北水研の活動の総括
 企画連絡室長が,以上の説明も含め,年度計画の各項目に沿った総括表を説明した。

6)外部委員による評価及び講評
 研究課題の評価案については,委員の方々に了承して頂いた。また,以下の意見・アドバイスをいただいた。:@論文発表数は申し分なく,社会に対する貢献も十分にその責を果たしている。概ね計画に基づいた実績を上げている。会議資料はよく整理され,非常にわかりやすかった。A「研究成果等」の資料は,分かりやすく纏められているが,一般の人がより理解しやすいような工夫・見直しが必要。漁業者に研究・調査結果が伝わるような工夫も必要。B現場や地方水試との連携を密にし,実践につながる業務も視野に入れ,積極的に取り組んでほしい。機関相互の役割を認識しつつも,協調・共同で手足と知恵を出し合いながら,より効率的に効果的な業務を行うことが重要であり,その指導的役割を水研に期待したい。C「産業課題に効率的に応えるために,地域内の研究機関がどのように連携するのか」を,中長期の検討課題として,再検討していく必要がある。D少ない人員と限られた予算で大きな成果をあげている。漁業者が大きな期待をもっている課題も多い。東北地区のまとめ役としてリーダーシップを発揮されたい。E今後,個人評価を処遇に反映する仕組みを作り上げていくとのことであるが,研究者の研究を発展させるシステムとして作り上げてもらいたい。

7)終わりに:所長から委員の出席及び講評に対し,お礼を述べるとともに,以下の総括的な回答を行い,会議を終了した:@「評価会議」はややもすると会議開催が目的になりがちであるが,頂いた意見を部課長会議等でよく検討し,今後の運営改善と研究推進に活かしていきたい。Aニーズの的確な把握,成果の普及,及び課題解決に向けた連携のため,ブロック推進会議に今後も積極的に取り組んでいきたい。B成果の公表・普及等の広報については,所としての「国民への還元」が必要と考え,一般向けの資料の作成を進めており,今後もわかりやすい広報に努めていきたい。