あとがき

 最近の科学誌の対談で、研究に入っていく動機付けについて、「好きだ」とか、「肌に合う」といった「種々の直感」が大きな意味を持っており、それがその後に続く「一体どうなっているのか」と未知の世界を覗き込む力になるのだという。未知なる分野に仮説を立てて挑んでいく『冒険』があって科学が進歩していく。しかし、そこにかけた努力や得られた結果はやっている本人達にはなかなか見えない。それをよく見えるようにするにはどうすればよいのか。それには内部のたくさんの人の議論は勿論であるが外部の意見も重要である、という。このことは水産総合研究センターの研究課題評価にもあてはまるものである。
 平成13年度からは研究の進捗状況が「中期計画」、「水産研究・技術開発戦略」等と照らし合わせて点検され、外部者が入って実施計画と到達度等について客観的な評価がなされる。そしてその結果は公表され、予算の執行も含め透明性を確保することにしている。その評価結果をその後の計画遂行にどのように取り込むのかがこれからの大きな課題である
 さて、当所では平成13年度に交付金によるもの、プロジェクト研究によるもの併せて27の研究課題を実施する。独立行政法人になったこの最初の1年目が何かにつけて基礎となり例となる重要な年となる。研究者間の闊達な論議を起こす場を作ることを考えたい。
 また、巻頭で伊藤所長は東北区水産研究所として実施する研究の背景と獲得目標及び業務運営の在り方について、さらに東北ブロックをはじめとして水産業関係試験研究機関が連携・協力して研究を効率的に推進することがますます求められ、水研はそれに的確に対応するべく一層の自覚が必要であることを記された。忘れないように肝に銘じておく。
 ところで、60号までは6ヶ月ごとに発行してきたが今回は独法に移行するため3ヶ月延期して9ヶ月分の内容となっている。前号から間が空いたことを陳謝する。
(企画連絡室長)

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