東北区水産研究所

「第９回有毒プランクトン国際会議」に参加して

山﨑　誠

　1995年７月に仙台で開催された第７回の有毒プランクトン国際会議（東北水研ニュースNo.49に報告）以来，２度目の参加ですが，今回は南半球に飛んでオーストラリアはタスマニア州のホバートでの開催でした（2000年２月７～11日）。事務局の報告によると，参加者は47カ国から500人以上（下の写真をご覧下さい），発表も438題（その内口頭発表は130題）に及び，南半球で初めての本国際会議も大成功といってよい規模のものでした。日本からは私の知る限りでも30人を超える老若男女が参加し，その内２割は水産研究所からの参加でした。発表内容のすべてについてコメントできる力量はありませんが，シアノバクテリアから魚介類に至る様々な段階での対象生物の生態や生理，毒成分の挙動，毒の分析法や新しい毒成分についての報告など，世界の研究者のある意味では先端的な研究から貝毒被害の発生やその原因種の動態把握に関する研究調査まで，貝毒に関するあらゆる分野からの発表があり，活発な討論も至る所で繰り広げられました（私の発表だけは少し隅に追いやられた感じで，まだまだプランクトンの出現予知の分野は難しく，関心が薄いと感じました）。
　女性の参加者・発表者が多いこと，みんなよく食べよく話すことは前回と同じ印象ですが，もう二つ付け加えると，若い研究者の発表に印象深いものがいくつかあったこと，バンクェットの余興でDr. Anderson（ウッズホール海洋研究所のプランクトン研究者）がスライドを使って１時間あまりもこの会議の歴史を振り返ったことでした。特に， Dr. Anderson の「発表」は，何人かの中心的なメンバーがこの小さな会議を世界に広げ，努力してきた様子がよく分かるものでした。その中で，日本の研究者も東北大学名誉教授の安元　健氏をはじめ，大島・福代・児玉・・・といった身近な存在の（国内の委員会や学会で必ずといって良いほどお会いする機会のある）方々も時には中心的な存在として努力されてきた様子を楽しく知ることができました。
　また，Field tripもNight cruise も他国の参加者といろいろな交流ができ楽しい思い出になりました。
　東北水研からは，私の他に同室の鈴木敏之主任研究官が，ニュージーランドで行われたプレシンポから参加し，「東北水研の貝毒研究ここにあり」と大活躍だったことも付け加えておきます。
　国際会議に参加することで，世界の状況を知り，自分の研究レベルを客観的に把握できる機会が得られ，研究への意欲や新たな発想の種を得ることができたと思っています。いろいろ陰になり日向になってお世話下さった皆さんにこの紙面を借りてお礼申しあげます。

（前　海区水産業研究部　海区産業研究室長, 4/1付けで養殖研究所へ転出）

参考: 会場（Wrest point convention centre）の遠景; 会議場の外（テラスと階段）に集結した会議参会者

Makoto Yamasaki