表紙写真の説明

 「トロール調査で大量に漁獲されたベニズワイガニ」


 ベニズワイガニは日本海、オホーツク海および銚子以北から北海道の太平洋側に分布している。生息水深は海域により異なるが、200〜2700mに分布することが知られており、日本海では水深1000〜2000mが分布の中心である。これまでの調査から、東北地方の太平洋側では水深400m以深で採集され、水深2000mでも採集されている。しかし、分布密度が高いのは水深600〜700m付近のようであり、日本海と比べてかなり浅い。
 この写真は、1997年4月に但州丸(兵庫県立香住高等学校所属、499トン)により行ったトロール調査で漁獲されたベニズワイガニである。場所は宮城県の金華山南東沖の水深600mで、船速約3ノット、30分間の曳網で(袖網間隔約20m)ベニズワイガニが1,980尾、294kg漁獲された。ベニズワイガニがこれほど大量に漁獲されることは珍しいが、ある程度まとまって漁獲されることはしばしばある。東北地方の太平洋側にもある程度のベニズワイガニ資源が存在しているのかもしれない。福島県の小名浜港では12〜4月にかに籠で漁獲したベニズワイガニが水揚げされる。

(八戸支所 資源評価研究室 北川大二)

Daiji Kitagawa