夏季の三陸沖の暖水塊及びその周辺域におけるツノナシオキアミ(Euphausia pacifica)の水平分布と昼夜鉛直移動

(英文:Horizontal Distribution and Diel Verical Migration of Euphausia picifica HANSEN in Summer in and round a Warm-Core Ring off Sanriku,Northwestern Pacific)

瀧 憲司


 1995年7月下旬の三陸沖(39゜30´N、142゜30´〜147゜00´E)6観測点において、MOCNESS-1による層別採集(0-50m、50-150m、150-250m、250-500m、500-1,000m)を行いオキアミ類の昼夜鉛直移動並びに水平分布を調べた。その結果、全部で6属16種類のオキアミ類の成体の出現が確認され、そのうちツノナシオキアミ(Euphausia pacifica)とThysanoessa inspinataが広範囲に分布し、とりわけツノナシオキアミが各観測点で他のオキアミ類に比べて優占する傾向にあった。T. inspinataは各観測点で昼夜ともほぼ同じ層に分布し、明確な鉛直移動を示さなかったが、その水深は水温によって影響される傾向がみられた。ツノナシオキアミはファ−シリア幼生期から明確な昼夜鉛直移動を示した。しかし、暖水塊域ではその初期段階から明確に示されたが、親潮の影響の強い水域ではその後期段階になってはじめて示された。後者の水域においてファ−シリア幼生の初期段階に終日表層付近にとどまっていたのは、その発育時間を短縮させて発育後期段階への生残率を高めていくためであると推察される。一方、水平分布をみると,卵、メタノ−プリウス、カリプトピス及びファ−シリア幼生の初期段階は親潮の影響の強い水域を中心に分布していたが、ファ−シリア幼生の初期段階から未成体にかけて発育の進行とともに徐々にこの水域から暖水塊域に分布の重心が移っていった。暖水塊域におけるツノナシオキアミの夜間の分布水深は、ファ−シリア後期幼生から成体に発育するに従って徐々に表層の高水温を避けて深くなる傾向がみられ、成体では50m以深の分布に限られる傾向があった。
資源管理部 漁場生産研究室
(注:本文は英文です)
kiren@myg.affrc.go.jp

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