三陸沖暖水渦内の層別流量とその収支

友定 彰・横内克巳・杉崎宏哉・松尾 豊


 友定他(1996)は1994年7月に暖水渦とその周辺海域で行ったADCPと蛍光光度計による空間的に密な調査から,親潮の水が暖水渦の北西側から流入し,南西側から渦内の水が流出していることを示し,暖水渦が肥沃化していることを示した.その中では,暖水渦の中心から東西南北の4方向で100kmまで,7℃以上の水温範囲の全流量を求め,4断面の流量差から暖水渦内外の海水交換量を求めた.本稿は,その続報であり,海面下20mから16m毎にADCPによって測流した結果から暖水渦内の7℃以上の水温範囲の層別流量と測線間の層別流量差を求めた.
その結果、
(1) 暖水渦の北西側の表層から親潮第1分枝の水が渦内に流入し,その内40%は北東側の表層から親潮第2分枝へと流出している.
(2) 暖水渦の南西側からは,渦内の中層の水が流出している.
(3) 親潮系の水の表層からの流入,渦内の中層の水の流出によって,親潮系の水が渦内に残ることになり,暖水渦が肥沃化していることが示唆された.
(業績番号:549A)

海流交換の模式図

友定:海洋環境部長
横内、杉崎:海洋環境部 生物環境研究室
松尾:海洋環境部 生物環境研究室長

Akira Tomosada,
Katsumi Yokouchi,
Hiroya Sugisaki,
Yutaka Matsuo

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