東北海域におけるツノナシオキアミ(Euphausia pacifica HANSEN)の発育段階別分布及び成長について

瀧 憲司・荻島 隆


 1994年2月から11月の間に東北ブロックの水産試験場等合計13の国公立研究機関によって採集された改良型ノルパックネット標本を基に、東北海域におけるツノナシオキアミの周年の発育段階別分布及び成長について調べた結果、以下の知見が得られた。
 月毎水域毎に卵及び幼生の出現状況から、本種の産卵盛期は春季(4〜6月)にあり、産卵活動は主に親潮系冷水域(100m深5℃〜10℃水帯)において活発であると考えられた。
 南北に広く採集された8月では、卵や幼生は主に100m深5℃等水温線と10℃等水温線の間を中心に分布していたのに対し、成体はこの水域のみならず100m深5℃等水温線より低温側にも広く分布していた。このことより、夏季における産卵活動は成体の分布域の相対的に暖水側で行われていると考えられた。
 東北海域広域における平均的な成長過程を追跡すると、発生後約1年目の3月〜5月にかけて1.7mm/月の比較的大きな成長を行った後、冬季にかけて成長が停滞するものと考えられた。
(業績番号:551A)
分布密度並びに出現頻度
瀧:資源管理部 漁場生産研究室
荻島:資源管理部 漁場生産研究室長

Kenji Taki,Takashi Ogishima

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