東北海域におけるクロロフィルの鉛直分布の季節変化

横内克巳・友定 彰・松尾 豊・稲掛伝三



 近い将来人工衛星によって観測が開始される海洋表層の海色情報を利用して,水中全体の植物プランクトン現存量を広域的同時的に求めるための準備として,本州東方海域における植物プランクトンの鉛直分布の季節変化を明らかにすることを目的とした。植物プランクトンの鉛直分布をガウスと指数の合成関数に当てはめることによって,鉛直分布の特徴を抽出するとともに,海表面から水深200mまでの積算量を求めた。
 鉛直分布は,冬の低濃度一様分布から春期大増殖期の表層集中分布を経て,夏の亜表層極大,秋の表層での小規模な増殖へと季節的に変化した()。海表面濃度と水中積算量には良い相関関係が認められた。このように,本州東方海域における植物プランクトン現存量の鉛直分布を最適関数に当てはめた解析の結果,水域別の季節的変化を抽出し,海表面濃度と水中積算量の関係を明らかにして,人工衛星による海洋表層の海色情報から水中全体の現存量を推定できることを示した。
(業績番号:534A)


横内克己:海洋環境部 生物環境研究室
友定 彰:海洋環境部長
松尾 豊:海洋環境部 生物環境研究室長
稲掛伝三:海洋環境部 海洋動態研究室長
Katsumi Yokouchi
Akira Tomosada
Yutaka Matsuo
Denzou Inagake

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