三陸沖暖水渦内の流動の一観測例

友定 彰・横内克巳・杉崎宏哉・松尾 豊



 三陸沖の暖水渦とその周辺海域の流動をRD社製のADCPで測定し,同時にTurner Design社製の蛍光光度計で船底から吸い上げた海水の蛍光値を測定した。調査期間は1994年7月7〜14日で,調査はわかたか丸によって行った(図1)。
 暖水渦内の流れは剛体回転的ではなく,暖水渦の縁辺部で台地状に流速の大きい所が認められた。暖水渦の中心を通る4断面(図1参照)で7゚C以上の水温帯の流量を求めると,西側の断面で流量が13SVと極端に小さく,他の断面では20SV程度の流量になった。この結果から,暖水渦の南西側から暖水渦内の水が流出し,北西側から暖水渦外の水が内部に流入していることが示された。蛍光値の分布を見ると(図2),暖水渦の北西側〜渦内の北側で蛍光値が大きく,暖水渦の北西側から親潮系の水が暖水渦内に入って暖水渦を肥沃化していることが示唆された。
(業績番号:533A)


友定 彰:海洋環境部長
横内克巳:海洋環境部 生物環境研究室
杉崎宏哉:海洋環境部 生物環境研究室
松尾 豊:海洋環境部 生物環境研究室長
Akira Tomosada
Katsumi Yokouchi
Hiroya Sugisaki
Yutaka Matsuo

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