V ツノナシオキアミの水平分布と日周鉛直移動の季節的変化

瀧 憲司・小谷祐一・遠藤宜成



 1993年4月から1994年2月にかけて宮城県女川沿岸5地点(水深50m,100m,150m,200m及び300m地点)におけるツノナシオキアミの水平分布,現存量並びに日周鉛直移動について調べた。ツノナシオキアミは春季には水深100mを中心とした陸棚上に高密に分布し,日中はやや浅い水深において集中的な分布をした。一方,夏季から冬季にかけて水深200mから300m地点の陸棚斜面上部に主分布域を移動するとともに,日中において底付き群を形成した。これより,春季には浅海域に生息するイカナゴ等魚類や濃密群を上空から探索するウトウ等海鳥類の,夏季から冬季にかけては陸棚斜面上部に大きな現存量を示すスケトウダラ等底魚類の重要な餌となっていることが示唆された。

(業績番号:538A)

瀧 憲司:資源管理部 漁場生産研究室
小谷祐一:南西海区水産研究所
遠藤宜成:東北大学 農学部
Kenji Taki
Yuuichi Kotani
Nobunari Endo

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