メーリングリスト「TNFRI」の運用開始について

電算機委員会 担当:伊藤進一


  1. はじめに
     東北水研の職員を対象としたメーリングリストTNFRIの運用が、平成8年7月より開始されましたので、その内容についてご案内致します。メーリングリスト名「TNFRI」はTohoku National Fisheries Research Instituteの略です。このメーリングリストの目的は「東北水研内での連絡を密に且つ迅速にすること」です。本来であれば、所内向けの内容なので、水研ニュースで紹介する必要もない訳ですが、同様な情報伝達の運用を考えている他機関の方々の参考になればと思い、敢えて紹介させて頂きます。
  2. メーリングリストとは
     最近、流行のインターネットの機能の中には、皆さんご存知のように電子メール(e-mail)という個人宛の電子通信機能があります。その電子メールを使って、多対多の情報伝達をすることが可能です。どういうことかというと、ある宛名に電子メールを送ると、そこから多数の人間に電子メールを転送すれば、1対多の情報交換ができるわけです。このとき、差出人が多数になれば多対多の情報交換が可能になるわけです。このシステムをメーリングリスト、メールリスト、メールグループなどと呼んでいます。
     このメーリングリストという機能を使って、同じ興味を持った人間が集まり情報交換をしているケースは最近多々あります。例えば、私が入っているメーリングリストを例にあげますと、

    [Game]GEWEX Asian Monsoon Experimentというアジアモンスーン域の水循環を解明しようとプロジェクトに興味を持つグループ
    [Ymnet]Young Meteorologist Networkの略でそのままズバリ、若手気象学者の情報交換の場
    [Suisan-Kaiyou]日本水産海洋学会のメーリングリスト
    [Kaiyou-gakkai]日本海洋学会のメーリングリスト
    [Seppyo]主に日本雪氷学会の会員が中心となって、雪氷学に興味のある人が参加
    [sys-man]ネットワークシステム管理者のメーリングリスト
    [Ocean-ml]海洋学に興味のある若手を中心としたメーリングリスト

    等々があります。私が参加しているのは、主に学問関係のものが多いですが、他にも娯楽的なことや趣味的なことについてのメーリングリストなども運用されています。
     インターネットの機能には、メーリングリスト以外にも、情報交換の方法としてニュースというものがあります。このニュースは、いわゆる掲示板方式で、記事を掲示板に載せ合うことにより、情報を交換します。ニュースの場合、基本的には参加者が不特定多数であり(参加者をある集団に限定する方法もありますが)、オープンなシステムであると言えます。これとは対照的にメーリングリストの特徴は、同じ興味を持った集団のクローズな情報交換であるということです。また、ニュースは自分で見に行かない限り情報を得ることはできませんが、メーリングリストの場合は、手元まで情報を電子メールという形で送り届けます。従って、所内という限られた集団の中で、しかも確実に情報を届けるという場合には、メーリングリストは非常に有効な手段であると言えます。

  3. メーリングリスト「TNFRI」の運用
     メーリングリストの運用の方法には、大きくわけると2つの方法があります。一つはエイリアスという機能を使うもの、そしてもう一つはメーリングリスト管理ソフトを使う方法です。前者は、複数の人間の電子メールの宛名を、エイリアスという機能を用いて、ある一つの宛名に置き換えることによってメーリングリストを構築します。この方法は、設定が非常に簡単ですが、単に電子メールを登録者に配送する機能しか持ちません。
     これに対し、メーリングリスト管理ソフトを用いた場合は、過去に交わされた電子メールを保存しておく機能などがついています。現在、メーリングリスト 「TNFRI」はfmlというソフトで運営されています。このソフトを用いることによって、参加希望者の自動登録も可能ですが、所内の職員を対象をしたメーリングリストであるので、自動登録機能は使わないことにしています。参加者の登録作業のみ、電算機委員会が責任を持って対処していくことが申しあわされています。
  4. メーリングリスト「TNFRI」で使用できる機能
     メーリングリスト「TNFRI」を管理しているfmlというソフトには、たくさんの機能がついていま す。非常におもしろいことに、これらの機能の実行も電子メールで行います。コマンドを書いた電子メールを、この機能用の宛先に送るとコマンドが実行され、返事のメールが送られて来るという形を取るのです。今回は、これらのうち主なものを紹介いたします。
    helpコマンドの一覧を見ることができます。
    members参加者全員の名簿一覧を取得することができます。
    summary過去の記事の一覧を得ることができます。
    このコマンドでは引数を使用することもでき、最近の10個の記事だけの一覧とか、過去の何番目から何番目という特定の記事の一覧などを指定して取得することができます。
    get過去の記事を番号を指定して取得することができます。
    offメーリングリストを一時的に脱会し、メールの配送を止めた状態にできます。
    on一時的離脱をやめてメーリングリストに再参加することができます。

     この他にも、記事を一通づつでなく、まとめて配布してもらうようにする機能など、いろいろな機能があります。

  5. メーリングリスト「TNFRI」の運用状況
     現在、メーリングリスト「TNFRI」に登録しているのは、17名で、全職員64名の約27%にあたります。これは、一つには若鷹丸の職員の方々が、陸上では電子メールを使うことができないためです。若鷹丸の職員の方々以外を考えると、登録率は約37%となり、3人に1人が登録していることになります。また、もう一つには、庶務課にLANに接続されているパソコンがないことが大きく影響しています。今後、庶務課でも電子メールが使用できるようになれば、メーリングリストへの登録率も上昇すると考えています。現在、農林水産省のLAN使用者は、所内で38名であり、そのうち45%がメーリングリストに参加していることになります。
     8月9日現在で、記事番号は33に達していますが、記事番号12まではテスト運用期間中に発信されたものなので、正式運用開始から約1月で21個の記事が出されたことになります。内容は現在のところ、所内委員会委員一覧表、水研八戸支所の一般公開の情報、新LANシステムに関する情報、テレビで水研の研究が紹介される番組の案内、ゼミのお知らせ等々があります。
  6. おわりに
     メーリングリストの威力は、特に(1)遠隔地との情報交換、(2)所全員への情報提供、(3)添付メールを用いたファイルの配布に対して発揮されます。(1)は、東北水研と八戸支所が地理的に離れているというデメリットを補う役目を果たし、(2)は、連絡網の迅速化を促す効果があると思います。また、(3)は、例えば 提出書類の書式の配布等、磁気ファイルの交換を迅速に行うことを可能にし、非常に有効な手段であると言えます。
     今後、より参加者が増え、メーリングリストを用いた効率的且つ迅速な情報交換がなされることを期待しています。最後になりましたが、このメーリングリストの作成に協力して下さった東北大学理学部の吉村氏に感謝の意を表します。

海洋環境部 海洋動態研究室

Shin-ichi Ito

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