橋場敏雄

前所属東北区水産研究所 八戸支所 浮魚資源研究室

 水研を離れて、早や4ヶ月が経ちました。
 昭和29年東北区水産研究所八戸支所へ入所以来、水研の先輩、同僚はもとより多くの方々のご指導、ご鞭撻をいただき職務を全うすることができましたことを深く感謝いたします。
 顧みますと、入所以来10年間は以東底魚資源調査研究に、昭和38年からは浮魚資源も研究対象とすることになり、とりわけイカ類の調査研究に従事してまいりました。また、昭和55〜57年には「さけ・ます別枠研究」にも参画しました。
 底魚調査での思い出は、かけだしのころ委託調査船によって、襟裳周辺海域を調査したときの、夕闇せまる襟裳岬の山々の稜線がくっきりと見られ、それは印象的でした。今は希にしか見られなくなったメヌケ、キチジ、マツカワガレイ等多くの魚が漁獲されました。
 研究対象がかわって、長い間浮魚資源研究室に在籍していた関係から、東北海域へ季節毎に来遊するマサバ、マイワシ、スルメイカ等の分布状況や、その資源変動に接する貴重な体験も得ました。資源の変動機構の研究は今後も重要なテーマとして続くと思われます。
 昭和38年からは、漁海況予報事業が開始され、当時八戸支所第2研究室(現浮魚資源研究室)としても主要な業務になりました。漁況を予報するという性格上、漁業からの情報と、水揚現場からの情報が不可欠でありましたので、情報入手のため幾度となく現場へ足を運びました。お蔭で現場の人達との接点ができたことも貴重な体験でした。漁海況予報会議は暫くの間、東北ブロックの各県水試のお世話で持ち回りでしたので各地の違った気分での会議も楽しみの一つでした。予報会議を通じて、関係水研、水試、漁業情報サービスセンター等の方々との情報交換もでき、ご交誼をいただきました。また、その間漁業資源評価システム高度化調査では、北海道教育庁若竹丸及び北鳳丸に再三乗船し、流し網を用いた調査も計画通りできましたことを、教育庁と乗組員諸氏に感謝したいと思います。
 近年漁獲量の減少により、水産業界も厳しい状況ですが、水産研究所によせる期待は低下するとは思われません。東北海区は日本有数の生産性の高い海域でありますので、地域水研の役割も重要だと思います。
 今後の研究の発展と皆様のご健勝を祈念して退官のご挨拶といたします。
Toshio Hashiba

目次へ