新規導入機械の説明

ガスクロマトグラフ・液体クロマトグラフ/質量分析計

鈴木敏之



 この機械はガスクロマトグラフ、または液体クロマトグラフで単離(分離)した試料をイオン化した後、静電界により加速し、4本の電極により生じる磁界中、特定のイオンを電極の電圧をコントロールすることにより通過させ、その時に得られる質量スペクトルにより、試料の分子量、化学構造等に関する情報を得る装置です。特に液体クロマトグラフで単離した試料を分析する際、大気圧下でイオン化するため、溶媒による真空系へのダメージが少なく、長期間安定した分析を行うことが可能です。
 近年、貝毒分量を従来のマウス生物試験の他に、高速液体クロマトグラフィーにより分析することにより、貝の毒量に加え毒成分の解析も可能になってきました。その結果、貝毒原因プランクトンの特定、貝の体内中における毒成分の変換等、新たな知見が明らかにされようとしています。一般に、クロマトグラフィーによる毒成分の同定は、毒成分がカラムから溶離してくる時間(保持時間)により行うため、同じ時間に溶離してくる夾雑物との区別が困難になることが少なくありませんでした。質量分析計の導入により、試料の分子量の解析が可能になりますので、より確実な貝毒成分の同定が行われるようになりました。未知の毒成分を検索する際にも、質量分析計は強力なツールとなるでしょう。

(資源増殖部 増殖漁場研究室)

Toshiyuki Suzuki

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