退職の挨拶

思い出

久保田清吾

旧所属:東北区水産研究所 八戸支所 浮魚資源研究室(〜平成7年3月31日)

 去る3月31日を以て40余年の永い間お世話になった東北水研八戸支所を定年退職しました。かえり見ると昭和29年2月入所以来数年間は、底びき網漁業の委託調査船の専属調査員として乗船し、襟裳岬沖や恵山岬沖漁場でスケトウダラ・カレイ類・メヌケ類を相手に漁況調査、標本魚の採集にと若い情熱を注いだことを思い出します。
 特に北の海での魚体測定や洞爺丸台風による僚船の遭難事故等、私にとっては貴重な体験となりました。
 昭和38年からは、八戸支所が従来の組織が変わり、浮魚資源も研究対象となって、本格的にスルメイカの資源研究が行われるようになった。八戸沖のスルメイカイカ釣り漁業は、連日300〜400隻の小・中型漁船が1晩操業して、早朝未だ吸盤の吸いつくイカを魚市場水揚げする有り様は、見事な情景でした。
 近年やや回復したかに見える漁況は、当時には遠く及びもつきません。この時期、入港する漁船を渡り歩いて漁況の聞き取り、体長測定を行なう日々を繰り返したことは、大いに充足感を与えたことを昨日の様に思いおこします。
 これからの東北海域における調査、研究の果たす役割は極めて重要になってくると思いますので、大いに頑張って下さい。
 東北水研並びに八戸支所、若鷹丸の益々の御発展を祈念し、御指導、御支援頂いた諸先輩ならびに同僚の皆様には心よりお礼申し上げます。
Seigo Kubota

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