退職の挨拶

石戸芳男

旧所属東北区水産研究所 八戸支所 底魚資源研究室長(〜平成7年3月31日)

 退職して早くも3ヵ月が過ぎました。昭和28年に東北区水産研究所八戸支所に入所以来、職員および多くの方々からのご指導・ご鞭撻をいただき無事に職務を終わることができましたことは、偏に皆様のご厚情によるものと深く感謝いたします。
 顧みれば、入所当初は2年間スルメイカの調査に従事し、その後東北海区の底魚資源調査研究に移り魚市場における体長組成調査や魚種別漁獲量調査を行い、また東北地方のお正月にはなくてはならないババガレイを中心にカレイ類の生態調査に移っていきました。そしてスケトウダラの資源調査にも従事しました。その間、魚類の水銀等汚染水域調査や沿岸漁場整備開発事業などもありました。
 調査船調査では初代わかたか丸で底びき網による漁獲物調査と底魚類の生態調査や標識放流などがありました。二代目のわかたか丸では前述の調査のほか、底魚類の卵から幼魚までのいわゆる加入前の知見の充足のため春季における底魚類の卵稚仔調査を行ってきましたが、解明された点が少なく未解明の部分の何と多いことかを改めて感じました。
 東北海区の底魚資源は近年タラ類やソコダラ類が減ったことにより減少が続いています。一方、北海道沿岸のカレイ類は増加の兆しがみられるとの情報もあります。このような資源の増減する要因の解明については今後の調査研究に期待しています。
 1977年の200カイリ水域法施行後、直ちに始まった 200カイリ水域内漁業資源調査も今年度から我が国周辺漁業資源調査となり、そして東北区水産研究所には今度、新船の若鷹丸(692トン)が建造され最新の機器が装備されていると聞いています。
 我が国の水産業をとりまく環境は厳しくなっている現在、水産研究所への期待が大きくなっています。今後の東北海区における魚類資源研究の発展と皆様方のご健勝とご活躍を祈念いたしまして退職のご挨拶といたします。
Yoshio Ishido

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