着任の挨拶

小倉未基



 水研生活10年目を迎えるにあたって、清水の遠洋水研から東北水研へ転勤してきました。これまで北太平洋の“さけ・ます資源研究”に従事し、偶然にも一つの漁業(日本の公海さけ・ます類の漁業)の終焉に居合せることになりました。漁獲割り当て量に絡んだロシアとの交渉や北米起源のさけ・ます類の漁獲、海産ほ乳類の混獲問題に飲み込まれていたと思いきや、実のところ比較的自由な研究をさせてもらって来ました。半分位(以上かも)の時間をサケの体内磁性物質やバイオテレメトリーによる遊泳行動研究に費やすことができ、回遊魚の移動や遊泳実態、回帰機構に絡んだ視点で仕事を進めることができました。学部から修士課程までの3年間は一応資源解析の勉強をしてきましたが、さけ・ます類が沿岸で量的な把握がある程度可能なこともあって、一般的な資源解析学から離れ、生物屋さんもどきの色合いがこくなってきた9年間でした。
 東北水研では主たる研究対象がカツオとなりますが、同様の大規模回遊を行う種として回遊生態の解明の視点も持ち続けると共に、資源量の把握を目指して昔の参考書や最近フォローしていなかった文献を再勉強して、資源研究者に復帰しようとしているところです。また、カツオが東北海域だけに留っていないように、研究の面でも他水研・機関との積極的な交流を進め、新しい切り口での仕事ができればと考えています。あと、調査で憧れの暖かい海に行けるとの期待も・・・

(資源管理部浮魚資源第二研究室)

Miki Ogura

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