退職の挨拶

浅野政宏

 

 平成6年3月31日をもちまして東北区水産研究所を定年退職いたしました。水産研究所生活を顧みますと、まず私が入所した昭和28年11月の翌年3月に勤務地静岡県焼津港において死の灰を浴びて入港してきた第5福竜丸の延縄漁業の聞き取りから社会への第1歩となりました。カツオと共に40年の生態研究の中で先輩の人達に恵まれ、カツオやマグロ類の生物調査に始まり試験船によるカツオの標識放流乗船、毎年6月に開催されるカツオ漁海況長期予報会議やカツオ研究協議会などの数々の体験も今は楽しい思い出として脳裏に残っています。またフィジー国(2回)、タイ国、ソロモン諸島国(乗船調査)と外国のカツオ研究会議にも参加して資源研究者とも交流を深めて参りました。
 現代は研究環境も大分変りまして、フレックスタイムが導入されたりパソコン通信による研究への応用などの環境条件がよくなってきています。これらの条件に甘えることなく諸先輩が築いた基礎研究と数々の研究の成果を土台として研究の発展を要望します。思いつき、ひらめきだけでの研究の発想では社会のニーズに答えることはできないと思います。
 私も4月1日から皆様方のお力添えで漁業情報サービスセンター東北出張所(石巻)で漁海況速報の仕事を始めて4ケ月がたちました。東北で漁獲される全魚種が対象で周年速報発行の業務となります。石巻魚市場で漁船の聞き取り、魚体測定、速報の原稿印刷、ワープロ作成、速報など忙しい毎日が続いていますが、充実した日々を送っています。最後に水産研究所の益々のご発展と皆々様の発展を祈念して退職の挨拶といたします。

(元 資源管理部浮魚資源第二研究室)

Masahiro Asano

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