浮魚資源の変動要因解明への挑戦

山口ひろ常


 桜はつぼみが未だ堅かった八戸から花満開の東京へやって来ましたが、今や当地は梅雨の真っ直中です。皆様にはお変わり無くご活躍のことと思います。さて、足掛け10年在勤した八戸支所を後にし、29年前に初入省した中央水産研究所(旧東海区水研)に赴任して3ヶ月が経過しました。片道2時間の電車通勤は、長時間通勤の経験がまったく無い私にはかなりハ−ドな毎日です。ただし、この苦行もあと1ヶ月足らずで終わりです。ご承知のように、わが中央水産研究所は本年8月1日から私の宿舎に近い横浜の新庁舎へ移転し、業務を開始することとなっています。20年近い遠洋研での底魚資源の研究の後、八戸支所では一転して浮魚の資源研究に従事することとなり、遅蒔きながら沿岸浮魚資源の勉強を初めました。私が赴任した昭和59年は、それまで十万トンのオ−ダ−だったまき網マサバの八戸港水揚げが数万トンのオ−ダ−に転落した年で、支所のある鮫町は灯が消えたと大騒ぎしていたのを思い出します。当時は増加傾向のマイワシや資源的に低下傾向にあったスルメイカが、10年目の今ではまったく逆の様相を示し、浮魚資源の変動の目まぐるしさを十分に体験することが出来ました。新職場の研究対象もまったく変化無しですが、より産卵場の近くへ来たと云えます。この地の利を生かして、今後も大きな変化を繰り返すと思わる浮魚類の変動要因の一端でも解明出来ればとの思いで仕事をやって行くつもりです。同一系群を研究している者として、今後とも宜しくご協力をお願い致します。  

(中央水産研究所生物生態部資源生態研究室長)

Hirotsune Yamaguchi

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