鈴木敏之


 今年3月に北海道大学大学院を修了し、4月1日より東北水研にお世話になっております。大学では脂質光学異性体のクロマトグラフィーによる分離分析に関する研究を行っておりました。
 さて、今まで私は東北地方に縁がなかったためか、当地の土地感に乏しく、そのためこちらに赴任するまでは塩釜にある水研というよりも、仙台の近くにある水研と認識しておりました。このため、大学院在籍時に赴任地を聞かれた時の私の答え方は「仙台の近くです。」(目上の場合)あるいは「仙台だよ。」(同僚または後輩の場合)でした。最近、私は大学時代の友人に挨拶状を出しましたが、彼等からこんな質問を度々受けます。「どうして、釜石に住んでいるの?」あるいは「あれっ、仙台からもう移っちゃったの。」等。とりわけ塩釜と釜石を間違える人が多いようです。それに対しこちらは「釜石ではなく塩釜に住んでいて、仙台と塩釜の間は地図で見ると2-3cmしか離れていないのでほとんど仙台だけど、塩釜もいいところだよ。」と的外れな答えをいつもしてしまいます。最終的には「結局仙台ではないんだね。」とあっさり言われてしまい、私も「そうだよ。」と言ってしまうことがよくありますので最初から塩釜に赴任すると言っておけば良かったと思うことがしばしばあります。
 ところで塩釜には3月28日にやって来たのですが、そのときの私の荷物は毛布一枚だけでした。その理由は、北海道に比べ宮城県は南に位置しているので暖かいだろうと思っていたからです。しかし28日の夜から29日早朝にかけてこちらは雪になりました。電気、ガス、水道の使えない真っ暗な部屋の中、毛布にくるまって呆然と一晩過ごしました。塩釜での第一日目がこんな調子でしたので、今後の生活はどうなるのだろうと少し不安になったのですが、現在多くの水研の皆様方に助けていただきながら無事に仕事をさせて戴いております。私の研究テーマは「貝毒」です。このテーマは決して易しいテーマではないとのことですが、様々な方の意見を伺いながら全力で取り組みたいと思っておりますのでよろしくお願いします。

(資源増殖部 増殖漁場研究室)

Toshiyuki Suzuki

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