新任の挨拶

カルチャー・ギャップ

斉藤憲治


 関西は京都大学から長いオーバー・ドクター生活の末、着任してまいりました。京都では、古典的形態学や生態学的手法のほかに、染色体やミトコンドリアDNAの分析などを用いて淡水魚の種分化の研究をしていました。それほど研究費や機材の潤沢な部屋ではなかったのですが、総合大学にいるという強みを生かして、なんでも借りて仕事をし、新しい技術は飛び込みで習いに行くという厚かましさで乗り切ってきました。
 こちらにお世話になるにあたり、諸先輩方から「大学から水研へ来るとカルチャー・ショックを上回るカルチャー・ギャップがあるが、落ち込まずに頑張ってほしい」などと聞かされました。それは一面では当たっているのですが、悪い意味でなく、良い意味でもギャップがあると、最近気がつきました。こちらに来て人に恵まれたというのがそれです。水研では縦横の連絡が大学時代以上に密で、水研内だけでなく、ほかの水研や、電話やFAXでやりとりをしただけという、いまだお会いしたこともない研究課や技会の方々までもが、海のものとも山のものともつかない新任の一研究者をバックアップしてやろうと努力して下さるのが、ひしひしと伝わってきます。これは新鮮な驚きでした。それまで淡水魚ばかり研究していて海産魚の経験が全くない自分にも、かかる期待は大きいのだと実感しています。この期待にきちんと応えられるよう頑張っていきたいと思います。
 今年は特にこれといったプロジェクトには参加していませんが、来年度から、特研でマダラの系群判別などを担当する予定です。ほかにもやりたいことはあるけれど、上司に知れるとまずいので内緒。

(八戸支所底魚資源研究室)

Kenji Saito

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