サメからヒラメへ

朝日田 卓


 昨年10月に科学技術庁の特別研究員として塩竃にやってきました。研究テーマはミトコンドリア(mt)DNAによるヒラメの系群識別に関する基礎的研究です。
 ヒラメはその高い経済性から全国で大規模に種苗生産、放流が行われています。私の研究はmtDNAの遺伝的標徴を捉えて系群識別や放流効果の判定などに利用したり、不確かなまま応用研究の根拠となってきた遺伝学的基礎知見の再検討をすることですが、資源増大のためという裏側に我々庶民にとってますます高嶺の花になっていくヒラメを少しでも増やし、エンガワを肴に一杯やりたいという高尚な動機がないわけではありません。
 以前は主にサメの染色体などをいじっていて、いろんな漁港をまわっては漁船に乗せて貰い混獲されたサメ、エイ類をもらって実験したり、海に潜ってサメ拾いをしたりしていました(サメには拾える様なおとなしいのもいます)。また、南太平洋の沖合いで人喰いザメと一緒に泳いだこともあります。これからは実験室にこもることが多くなり、フィールドに出ることが少なくなると思うと少々さびしい気もしますが、誰にでも、現場でもできるDNAworkの確立を目指し頑張りたいと思います。最後に、私は岩手の産でもありまた、サメをもらいにあちこちまわっていたので東北の九カ国語くらい(他関東から関西にかけての数カ国語)は解します。南の国からやってきた人で言葉にお困りの方はご相談に乗りますので魚介研まで遊びにきて下さい。

(資源増殖部魚介類増殖研究室:科学技術庁科学技術特別研究員)

Takashi Asahida

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