佐野 蘊


 1954年4月北海道余市町を振り出しに、東京→函館→清水→高知→広島そして塩釜と、各地の水産研究所に勤務し、最終の部署となりました東北区水産研究所長には1987年12月から4年3カ月余り在任しました。この度3月16日付けをもちまして辞職し、38年ほどの研究公務員の務めを終え退職いたしました。
 後半の多くは研究管理業務が専務になりましたが、実務を受け持っていた期間には漁業資源の評価、予測及び管理に関する調査研究に従事し、なかんずく1958年から1982年までの20数年は、北太平洋におけるサケマス沖取り漁業の資源に係わる調査研究を担当し、国際交渉でのサケマス資源論議では沖取り漁業国の立場からどうしてもアラゲートな弁解だけで終始しがちで、沖取り漁業による溯河性魚類資源の合理的利用を堂々とデクラレートする機会もなく、幾多の至難な経験をしているうちに、国際的な200海里体制がすっかり定着してしまったという、当時の経過がいつまでも忘れられずに回想されます。
 38年の在職中には、多くの皆様方の公私にわたるご厚情とご指導をいただき、何かとその責務を大過なくここに終えることができましたことを、心から厚く御礼申し上げ感謝いたします。
 現役を離れますと惚けてしまいますので、関係の皆様のご斡旋をいただき、4月からは株式会社パスコ総合環境センターに勤め、環境調査関係のお手伝いをしております。何かとご縁の深い環境調査の部門ですので、今後とも変わらぬご支援とご厚誼を賜りますようにお願い申し上げます。
 水産業関係試験研究機関の皆様方の益々のご健勝とご活躍を祈念いたしまして、退任のご挨拶とします。

(前 所長)

Osamu Sano

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