あとがき


 超大型の台風15号が本州をかすめて北東へ去り、台風一過、爽やかな初秋の青空を期待していたところ、16号、続く並みの台風17号の北上によって秋雨前線が活発化し、たちまち雨空となった。悪いことに先程入った情報によれば、九州長崎、佐賀地方は暴風圏内に入り、17号がこのままのコースをとると日本海、北陸を抜けて東北中央へ向かうと言う。10日程前、二百十日も穏やかに過ぎた翌日の午前、何気なく窓から西の方を見ると、沢山のトンボが青空に飛び交いながら北西に向かっていた。ああ、もう秋だなと感じながら、気忙しく飛び交うトンボの群れが子供の頃にみた情景とはどこか違っているようで、妙に心に残った。
 東北では、遅い梅雨明けと8月の天候不順による日照不足、冷夏が、青森ネブタは例外として各地の夏祭りや海水浴場への人出を抑え、短い夏を一層淋しく終わらせた。一方、この短い夏は、目まぐるしく変わるソ連の政変(8月革命、共産党解体、バルト3国独立・・・)、日本バブル経済の崩壊による一連の証券・金融不祥事と内外共に歴史的出来事に関するニュースが圧倒的に豊富な季節でもあった。
 9月に入った東北の漁も秋に向かって確かに動いている。気仙沼魚市場では大型出漁船によるサンマが好漁の続くカツオより高値で取り引きされた。一時的現象とはいえ、脂がのって美味しい「もどりカツオ」も秋の味覚大型サンマの走りにその座を譲ったと言えよう。
 そして、本号では予想以上に盛り沢山の原稿をご投稿いただき一同嬉しく、また楽しく仕事をさせていただいた。

(企画連絡室長)


kiren@myg.affrc.go.jp