用度係の予算契約管理システム

−パソコンはこのように使われている−

相澤幹夫


はじめに

 庶務課で使用するパソコンと周辺機器の導入状況、使用したソフトは次のとおりである。1:本体(NEC,PC9801Vm21.5インチ2FDD)、ハードディスク(40MB)、ディスクドライブ(3.5インチ)、マウス、ページプリンタ1台、2:本体(PC9801UV11,3.5インチ2FDD)、マウス、ハードディスク(40MB)、3:本体(エプソンPC386M,3.5インチ2FDD40MBハードディクス内蔵)2台、マウス、ページプリンタ(2と共有、3台のパソコンで使用)である。
 システムプログラムでは1:ワープロは「一太郎」、この種のソフトではユーザーがもっとも多い。2:表計算プログラム「マルチプラン」これもユーザーがもっとも多い。3:データベースは誰でも使えるように操作が簡単なを重視して選択した「画像アイリス」の3本である。これらはハードディスク上で動かす。このハード構成で共通しているのが、使用するソフトとソフトのハードディスク管理である。
 上にあげた各種ソフトを効率よく動作させる必要がある。一つの作業が終了すれば次の作業をというふうに作業別に使用するソフトを瞬時に次々と切り替える。同時に処理スピードの高速化を実現するためにはハードディスク上で行うのが適している。それではこのソフトなどが組み込まれているハードディスクの中を覗いてみよう。(表1
 MSDOSを始め、各種システムプログラムはそれぞれ専用のディレクトリに納めた。これらプログラムの日本語入力は、ワープロ「一太郎」に統一した。これは日本語入力プロセッサを個々に使用すれば、システム毎の入力操作をマスターしなければならないことと、入力操作の使い勝手の善し悪しによって入力効率は必ずしも向上しない。さらに、ユーザーが作る辞書、外字などは個々に管理しなければならない。という点での問題があるためである。辞書、入力方法が統一され、4台のパソコンどれでも動かすことができる環境にした。これで仕事が変わってもパソコンの操作上では戸惑うことはないのだ。

予算契約管理システム

 各係のパソコンの使用状況といえば、庶務係は文書作成に、会計係は給与の基礎計算部分と文書作成に使われている。ここでは、用度係において既製のパッケージソフトを利用した予算管理、契約管理のシステムの概要をごく簡単に紹介することにしたい。
1)予算管理
 予算管理とは、各部などが持っている1 予算科目ごとに、予算額、支出額、そして残額はいくらあるか、さらに2 所全体として科目毎にいくら残額があるかといった管理をパソコンで処理することである。したがって、予算差引簿という帳簿は備えていない。
 既製の帳簿様式は一般的には年月日、摘要、予算、支払、残額などの項目に分かれている。これまでは、この様式を利用して上記1、2の管理を行なっていた。この方法では記帳、集計上での欠点(省略する)とともに、「今日現在の予算残は」という日々変化する情報提供のリアルタイム性がないのである。しかも、この部分にはかなりの時間がかけられていた。
 この処理を、表計算プログラム(マルチプラン)で計算させるのであるが、仕様はつぎのようになっている。電子帳簿では科目毎の支出データファイル(フロー1)をオープンし、このうち契約決議書の契約月日、但し書き(摘要欄へ)、決議書番号、契約金額(支出額)の4データを入力するだけである。ここまでは、帳簿と比較すると手書きかタイピングかの違いであり時間はあまり変わらない(作業量によるが)。このファイル数は26、フロッピーにして3MBを要する。
 つぎに集計作業だが、これは集計ファイルで自動実行する。集計ファイルには各部の予算表(表2)が作成してあり、予算額、追加、組み替えなどの処理をここで行う。そして、科目毎の「支出額」はそれぞれ対応する支出データファイルの累計額が読み込まれるようになっている。さらに、この表から各部別の予算、支出、残額の一覧表や科目別集計表として作成される。集計所要タイムは100秒だ。手計算の場合は検算をするから、部・科目別毎に少なくとも2回は計算しなければならない。一度ミスをすると数回繰り返すことになり相当の時間を要する。集計タイムが大幅に短縮する。それが100秒というリアルタイム性で結果がでるのだ。
2)契約管理
 時間の短縮はできても入力ミスがあってはなんにもならない。正しく入力したかをチェックする必要がある。これを予算管理と契約管理データベースの集計結果を照合(予算科目、金額)することで相互のミスを発見しようというものである。データ項目は表3のとおりである。(検索、機能等の説明は省略)。これは、担当者が契約完了後「決議書」に基づいたデータを、決められたルールに従って入力する。平成2年度の入力件数は2,292データで、フロッピーにして2MBは必要である。基本的には予算管理と契約管理のパートを分担している。これで、予算管理との相互チェックだけではなく、研究部・室に対し支出額、予算残額情報の提供と併せ支出リストを資料として検索出力する。もし帳簿様式的にペーパーで残す場合は、会計年度終了後必要なデータを加工し出力することになる。まさに帳簿はなくても良いのである。このデータベースの役割をまとめると次のようになる。1 入力ミスのチェック、2 官公需契約実績調べ(年2回)対応、3 検査調書や各種実績などの加工データとして活用している。

コンピュータ化にあたって

 処理を効果的に行うためには、単にコンピュータを導入すればよいというわけではない。そのためには現在の事務処理又は流れが、コンピュータ化にあたって「どういう問題があるか」の点検が必要である。そして、どのような処理をさせるか、これができればよいという目的をはっきりさせることである。あれもこれもという欲望は捨てなければならない。というのは、当初の予算管理の表計算では、あれば便利かなとか、この表からはこの部分のデータが使えればといったことから、いろいろな機能をもたせすぎてしまった。結果は、ファイルの読み込みに時間がかかる、処理スピードはダウンする、おまけに実際は全く使用されなかったというマイナス作用を引き起こすことになったからである。データベースでも、検索等の目的にあったデータ項目に限定する。こういう検索も考えられるかもしれないなどという中途半端な項目はつくらないほうが賢明である。(参考:データ項目

おわりに

 このシステムは昭和63年に手がけ、同年度には試行をはじめた。以降予算、契約管理とも変更を重ね現在に至っている。作製に携わったのは三浦正光氏(現北水研会計係長)と澤田龍治氏(現水工研勝どき分室)である。試行錯誤を繰り返しながら、ある時は徹夜で作業したことも何度かあったようだ(筆者は口だけ)。しかしお二人の粘り強さと柔軟な頭脳で短期間で終えることができた。心からお礼を申し上げ、最後に用度係における主な活用実例を参考までに紹介して終わりたい。
【表計算プログラム】
競争参加資格審査
光熱水料等各種実績表
数値データを扱った調査対応
【データベース】
競争参加資格審査結果等データベース
 *競争参加資格名簿、発送タックシールなどのデータ加工
【ワープロ】
競争参加資格審査結果公文書作成(自動化)
 *データベースを利用して
東北水研研究報告及び水研ニュース編集
 *予定価格積算に効果
(庶務課用度係長)

Mikio Aizawa