西澤幸人


 わかたか丸を下船して早3カ月になりました。正におかへ上がった「カッパ」です。海を仕事の場にし、航海と航海の合間に家庭に帰り、お客さん気取りで過ごして来た私が今や朝から来訪者の対応と近所の方々でも初対面の方ばかりで右往左往が続く毎日でした。
 最近になり徐々にではありますが地域に溶けこむ様になり、たしかに潮気は抜けつつあるようです。
 40年余船員として、最終乗船となりましたわかたか丸には6年間乗船し、水研並びに、わかたか丸の皆様には大変御世話に成りました。厚く御礼申し上げます。
 調査船わかたか丸8ノットで三陸の海域を忍耐で6年を過ごして来ました。赴任した頃より水研再編成の気運が出はじめました、わかたかも同様でした。建造時のままの設備で研究に頑張って居りましたが年年歳歳諸機器が搭載され近代船と遜色ない研究成果が向上したのも研究員並びに乗組員の賜物でしょう。8ノットでの成果、ここに東北の気質があるのでしょうか。しかし日進月歩の現在、8ノットの船速は三陸の宏大な海の調査はしんどいですね。
 調査機器を網羅した近代船が1日でも早く誕生し、三陸の海に雄姿をみせて、より研究の発展を心から願うものです。
 長い間お世話になり、ありがとうございました。
元わかたか丸機関長

Yukihito Nishizawa

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