近藤倬美


 東北では到底想像もつかないムシムシする梅雨と熱帯夜の時期となり、心身共少々疲れの昨今である。
 早いもので、筑波に出戻りして3カ月が過ぎました。丁度春闘の時期でもあった関係から、連日資料作成に追われ、7月1日が過ぎてようやく一息ついたところです。
 思い返せば2年前、技術会議関係の場所しか経験のない小生が、水産庁関係の機関に転勤する話があった時、最初に職員名簿を見て「誰か知人はいないか」と捜しましたが、数える程しかいませんでした。「これも試練だ」と思い不安混じりで塩釜に着任しました。
 今までにも単身生活の経験は1年程ありますが、前回(千葉ーつくば)は車でも1時間半位であったので、さほど気にもしませんでした。ただ年齢的にも健康面には一番気をつかいました。しかし、運良く風邪もひかず卒業出来たことは、日々皆様のご協力の賜物と、深く感謝する次第です。
 特に早朝テニス(含日祭日)、早朝ゴルフ、サッカー等にお付き合下さった方々、中国語で情勢分析、夜のネオン街で喉を潤し、公共物と仲良しになった方等本務を忘れて興じた日々が、まさに走馬灯のようにかけ巡ります。小生にとっては、いろいろな面で勉強もさせて頂き、本当に短い2年間でした。少しでも組織の一員として、お役に立てた事があったのかなーと自問しています。
 また、農業関係の研究者と違い、水産関係に携わる研究者が苦労されているのは、このとてつもなく広い自然海を、どうやって味方に引き込むか、日々変化する研究条件に、個々の大きな研究目標をどう結び付けるか、環境汚染等社会のニーズにどのように対処するのか、本当に苦労が多いと推察いたします。
 平成3年度で「海水取水設備の改修工事」が予算化されたそうですが、どうか立派な設備を作って下さい。
 筑波の設備も10年が過ぎ、設備の老朽化、陳腐化がひどく高水準の機能を充分発揮して、世界に誇れる研究を行うには、多くの既存設備の機能変更及び機能向上のため、改修工事が必要のようですが、予算の関係もありなかなか思うようにはいかないようです。
 最後に、この2年間で得た種々の事柄を、今後の大きな財産として少しでも皆様にお役にたてれば幸甚と存じます。また、つくば方面にお越しの折りには、ご一報下さればご案内差し上げたいと存じます。
蚕糸・昆虫農業技術研究所総務部庶務課長補佐

参考
 蚕糸・昆虫研は、絹の生産技術、特に洋装用の絹素材の作出とその加工技術の開発並びに繭の低コスト生産と桑の新品種、機械化栽培・収穫、人工飼料の開発等多種多様にわたった研究を行っている。
Takumi Kondo

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