藤田敏彦


 私は東京生まれの東京育ちで、長年学生生活を続けた後、半年間南西海区水産研究所高知庁舎のお世話になり、この春より八戸支所・底魚資源研究室に配属されました。未熟者でありますが海洋生態学の研究に努力していく所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
 これまでは、深海カメラの映像などを利用して深海底に生息する棘皮動物の研究を進めていきました。棘皮動物と言っても焦点を当てていた研究対象は、食用となるウニやナマコではなく、馴染みの薄い「クモヒトデ」です。深海の中でも最も浅い部分、即ち大陸斜面の上部あたりには、夥しいクモヒトデが分布しています。海底一面がクモヒトデに覆われており、高密度ベッドと称しています。大昔はクモヒトデの高密度ベッドが浅海に多く見られたのですが、クモヒトデの捕食者となりうる魚類などの種分化に伴い、高密度ベッドは深海へと追いやられてきたらしいのです。どのようなメカニズムでクモヒトデ高密度ベッドが形成・維持されているのか、そしてなぜ深海にたくさんのクモヒトデが生息しているのか、に興味を持っています。底魚類の中にはクモヒトデを食べている種も多いので、その辺をきっかけにして底魚類を含む底生生物群集の生態研究を進めていけたらと考えています。
 八戸は「しばれる」所だそうです。私はどちらかといえば夏型人間で、寒いのは苦手です。冬毛を生やすか冬眠するか、越冬戦略を今から悩んでいます。
八戸支所底魚資源研究室

Toshihiko Fujita

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