40周年に当り

佐野 蘊



 東北区水産研究所の設立40周年に当り、これまでに業務を推進されてこられた多くの先輩各位のご努力、ご尽力に対して、深く敬意を表します。初代所長、木村喜之助博士以来11代目を二年程前から、当職勤めさせていただいております。

 我が国の水産業は、漁業者の開拓精神と猛烈な企業努力に加えて諸々な好条件に支えられて、この半世紀近くの期間に大いなる発展を遂げてまいりました。しかし、漁業を取り巻く環境が根底から変化し、急テンポな変革を続けましたことにより、変化には脆い体質が培われていたことから、今日、水産業全般は大変厳しい状況にあります。

 国民の必要としている動物性蛋白質の約半分を供給し、日本型食生活の一翼を担う重要な産業を、今日の時代に即応した水産業として振興させていくことが急務であります。このような状況下で、我が国周辺水域の高度利用・管理体制の確立、さらには「つくり育てる漁業」を積極的に推進するなど、基本施策が進められております。このために、水産業の生産を高めそれを維持していくための技術開発に必要な、試験研究にたいする期待は益々大きくなってきており、さらに国研として基礎的・基盤的研究の開発や国際的な研究交流も求められ、試験研究機関の役割とそれを推進する責務は一層重大になってきていると、認識しております。

 研究体制について内部組織を見直し、昭和63年4月以来、次のように資源・増殖及び海洋の3研究部門を柱として整備再編を行ない、これまでに培われてきた幾多の業績を基盤にして更なる発展を期し、新しい時代に即応した、東北海区の地域に根差した機関として発足し直しております。

 1 資源管理型漁業の確立を目指した「資源管理部・八戸支所」、3研究室・2研究室制
 2 つくり育てる漁業の推進を目標として「資源増殖部」、2研究室制
 3 海洋環境の変化の予測と海洋生産力の適正化をねらい「海洋環境部」、2研究室制

 従来にも増して、東北区水産研究所の役割についてご理解を賜わり、ご指導、ご鞭撻の程をここにお願いいたします。

(所長)

Osamu Sano

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