サンマの共食い現象

高橋 章策



 サンマの栄養と食性に関する研究は数多くあり、サンマは主に動物性プランクトンを飽食していることが、よく知られている。
 筆者は、数年前から東北海区で採集されたサンマの胃内容物調査を行っている。サンマは希にはハダカイワシ類等の魚類を捕食するが、「サンマがサンマの稚魚を捕食」しているの例を見たのは今回が初めてである。 
 紹介するのは、平成元年5月22日に北緯37度00分、東経156度00分(水温15.2℃),同年6月6日に北緯38度25分、東経166度22分(水温15.3℃)の両観測点で、流し網により採集されたサンマについてである。
 この内の1尾のサンマ(体長31.1p、体重111g、胃内容物重量18.3g)はサンマの稚魚を12尾(体長5〜6p)も捕食していた (参考写真)。他の魚種で共食いはよくある例だが、サンマについてこれまで聞いたことはなかった。
(資源管理部浮魚資源第1研究室)

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