退官のご挨拶

秋山和夫



 皆様にはますますお元気にお過ごしのことと存じます。さて私は去る3月末をもって昭和26年以来永年勤務させていただいた東北区水産研究所を定年により退職致しました。今迄この水研ニュースでは多くの方々の離着任のご挨拶を拝見してきたのですが、いよいよ書く側になったかと感無量なるものがあります。
 大変永い間この水研にいさせていただいたのですが振り返りますと前半の約15年の旧庁舎の時と、後半の20年を超える現庁舎の時代では社会情勢や仕事の上で別の職場の様な気さえしています。旧庁舎は当時は街外れの丘の上に松の緑に囲まれて点在する白壁赤屋根の外見ハイカラな建物でしたが、この時代わが増殖部は予算が誠に少なく、他の部が捨てたものを利用して仕事をする様な耐乏生活ではあったものの、元気に割合自由に研究をやっていられた沿岸漁業隆盛期の古き良き時代でもありました。市街地の拡張に伴って余儀なく現在地に移ってからは間もなく実験施設も増設され、以前に比べれば研究環境は大いに向上しましたが、こちらでは年限の決められた特別や別枠研究などのプロジェクト研究がめまぐるしく続き、また人事の交流も以前に比べるとずっと多くなり、アッという間に今日になってしまった感があります。過ぎてみますと30年や40年は大変短いものだというのが実感です。その間皆様にはいろいろの面で大変お世話様になりました。厚く御礼申し上げます。
 これからの世の中は今迄以上に幅の広い、テンポの早い対応や解決を要求される仕事が増えることでしょうが、若いうちからそれに耐え得る様な体力や知識の蓄積を心掛け、ますますお仕事を発展される様お祈り致しております。
前増殖部藻類研究室長

Kazuo Akiyama

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