転任の御挨拶

水野恵介



 昭和51年5月の新規採用で赴任以来、昨年10月に転出するまで10年6カ月東北水研でお世話になったことになります。私にとって、研究者としての最も大切な時期を、ここで過ごし、様々なことを教えられ、まさに第二の故郷とでもいうべき所になりました。
 思い返してみると、幸せだったのは東北水研の自由な雰囲気の中で、のびのびと過ごせたことです。これは、水研創立以来、伝統的に海洋環境を重視する気風が強いことと、歴代の上司が若い人に理解があったことによるものと感謝しております。
 乗船調査も頻繁にやらされ、初めは140トンの“わかたか丸”に乗り八戸湾内で酔ってしまったのもですが、次第に慣れ、黒潮や暖水塊を観測するたびに海洋構造やその変動の性質に興味がわいてきたものです。また、小人数の部でやりくりが苦しいながらも4カ月の国内留学や1年近く米国に留学させてもらい、リモートセンシングや海洋変動の研究に視野を広げる機会を得られたことは、大変幸せなことでした。
 ここ数年来、東北水研でも若い仲間が増え、私自身教えられるところが多く、良いチームワークで仕事をやってこられました。海況学の面では活発な研究グループの一つとなりましたが良いチームワークと、観測を重視し、実証的に海の変化を理解していく方向をぜひ今後とも発展させてもらいたいと願っています。私はまだ東北の海には未練がありますが、太平洋規模で、これをみてみようと考えています。また、現在、必要なのは環境と生物の関係を、新しいアイディアでストーリーを作り、これをデータによって実証していくことだと考えており、これからはそんな仕事もしてみたいと思っています。皆様にはこれまで同様、仕事だけでなく遊びの方でも機会あるたびに、お付き合い下さるようよろしくお願い致します。
遠洋水研 南大洋部海洋第2研究室長

Keisuke Mizuno
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