長い間お世話になりました

三河正男



 何もとりえがなく、ただ体だけが何とか丈夫なのが私の生活の支えであったのですが、昨年3月、突然食道腫瘍という誠にやっかいな病魔に侵され、3カ月入院の止むなきに至りました。幸い経過は良好で、ほとんど完全な状態で退院してのですが、コバルト60照射の後遺症のせいか疲れやすく、どうしても気力が乏しいため、これ以上職にとどまることは無理と判断しまして定年とは関係なく7月1日付けで退職いたしました。
 古いことは良いこととは思いませんが、昭和21年農林省水産試験場宮古試験地に就職、そして昭和25年八戸支所開設以来、鮫町という片田舎の、その又町はずれという恵まれない職場で、それでも青春時代を通じて現在までそれなりに楽しく過ごして来ました。この間親しくご交諠をいただいた方がたのいかに多かったことか、私の宝として心にきざみ、いつまでも感謝しております。
 思えば40年間、一貫して東北海区の底魚類の生態解明にとりくんで来ましたが、いま、何ほどのことがわかったかと、ふりかえってみますとその浅薄さに汗顔の至りです。海はなお深く、底魚はまだまだ遠くにあります。新進気鋭な後進に期待すること大です。
 何もできなかったけれども、悔いはありません。万感こめてご挨拶申し上げます。さようなら皆様、長い間大変お世話になりました。ありがとうございました。
前八戸支所第1研究室長

Masao Mikawa
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