二度目の転出挨拶

林 繁一


 水産経済新聞がサンマの中漁予報を第一面に報じたこの日、塩竈からから送られた懐かしい原稿用紙を広げる時間が出来ました。私にとってこの責を果たすのは二回目です。前回はともかくも4年近く、特に研究面に触れながらの生活でした。その後の転勤挨拶はまさに塩竈時代の仕事の続きとなっていました。
 それに対して今回の在籍はまったく夢のように過ぎ去った短い1年でした。この短い期間ではやり残したと言うよりも手を付けたばかりの仕事がずっと多いと言った歯切れの悪い文章になりそうです。しかし研究所の生活も残り少ないこの年齢になれば、それは繰り言となります。視点を変え漁場の規制のみでなく市場開放までも強く求められている我が国の水産業に係わる研究を担当する者にとって、総合の重要性から個々の研究所を単位としてのみ考える時代ではないことを改めて書き残したいと思います。東北区水産研究所の対象も海区内のみでなく、我が国の周辺水域、さらには遠く赤道なり日付変更線をこえた海域につながっています。階前の梧葉に秋を感じるようになった現在、将来のある所員の皆様が、研究であれ事務であれ、仕事と生活とを適確に設計されるよう希望しています。
遠洋水産研究所所長

Shigeichi Hayashi

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