転出ごあいさつ

三輪勝利



 東北水研ニュースの紙面をお借りして、転出ごあいさつを申し上げます。
 4月1日付で東海水研所長を命ぜられ、翌日着任というあわただしい赴任を経験しました。 これは4月7〜9日に研究職の昇格問題が中心議題となる水研所長懇談会と水研所長会議がセット されていたためです。後任の東北水研所長の篠岡さんとは4月1日に水産庁で事務引継ぎを しただけで、書類の所在と確認は省略させて貰い、必要に応じて電話で用事を済まさせて いただきました。したがって、篠岡所長はじめ東北水研の皆さんには少なからず御迷惑を おかけしたのではないかと思い、お詫び申し上げます。
 私が東北水研に赴任したのは昭和54年10月3日で、この時も函館で行われた水産学会の 秋季大会に出席のため、翌日出発という忙しいスケジュールだったと記憶しています。東北水研での 初仕事は、日ソサンマ・サバ研究協議会のレセプションでした。冷汗をかきながら挨拶をしたことを 思い出します。所長の仕事の中で、いろいろな会議での挨拶の原稿作りが重要な部分を占めることが、 その後しだいに分ってきました。
 こんなスタートで始まった東北水研での2年半は、過ぎてみると、あまりにも短く、何も しないうちに終わってしまったという感じが致します。東北水研には漁業をよく知っている研究者が 多いので、漁業がいま何を求め、研究者はいま何をしなければならないかを見誤る心配はないの ですが、しかし一方、新しい発想が生まれにくくなっていることも事実です。数少ない若い人に それを期待したいのです。
 水研はいま後継者不足になやんでいますが、これが年々深刻になってきています。10年後には 約半数が経験10年未満の若い人ということになり、この人たちが管理職の一翼を担うことに なるでしょう。水研発足(昭和24年)当時は経験の浅い若い人が半数を占めていたから、 年令構成は当時と変わらないかも知れないが、大きく違っているのは、企画・管理職者数が 現在の方がはるかに多くなっている点です。10年度には、現在の組織を支えられるのだろうかとか、産業研究機関としての真価が問われる時期が来るのでは ないかとか等々、余計(?)な心配をしているわけです。
 海区別担当でスタートした水研の研究体制は、約30年の歴史の中で、研究分野別にそれぞれ 変ぼうを遂げ、海区別担当の面影を残しているのは海洋部だけという状況になってきています。 とはいえ、海区水研はそれぞれの地域に根を下し、それぞれが特徴のある水研として歩み始めて いることも事実です。将来への見きわめが必要な時期にあるように思いますし、積極的な提言が 下から盛り上げることを期待しています。
 最後に東北水研に在勤中は本当に楽しく過ごさせて戴きました。碁・テニス・卓球・ コンパなど、いろいろ思い出があります。東北水研の皆さん、青森・岩手・宮城・福島・茨城 各県の水試や栽培漁業センター、加工研の皆さんに厚く御礼を申し上げ、転出ごあいさつと 致します。
前 所長  東海区水産研究所長

Katsutoshi Miwa

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