着任に当たって

谷野保夫



 去る6月16日付けで、海洋水産資源開発センターから東北区水産研究所資源第一研究室に 着任致しました。
 開発センターは昭和46年7月に設立されましたが、開設と同時に日本海区水研から 赴任致し、以来10年、主として底魚類の新漁場開発を担当して参りました。開発センターの発足 当時は北極海から南氷洋まで、世界の至るところをその調査の対象とすることができ、調査海域は 何年も先まで予定されておりました。ところが200海里時代の到来と共に、各国が200海里水域を 自国の権益として抱え込んだために様相が一変し、我が国漁業発展のためのということだけでは、 相手国の200海里内の開発は極めてむずかしくなって来ました。
 一方、特に外国水域へ出漁していたトロール船など底魚対象の漁船は、一方的に締め出されたり、 また、操業可能の水域でも漁獲割当量の設定など苛酷な条件を呑まされ窮地に立たされました。 我が国と致しましては、外国水域で年間約450万トンを漁獲し、総漁獲量1,000万トン以上を 必要とする我が国水産業の需給のバランス上、我が国200海里内の漁業資源の見直しが大きく 取りあげられた次第です。
 私は東北水研でサンマを担当することになりましたが、サンマは見直し資源のうちでは 極めて重要な魚種の一つであります。サンマの研究は我が国においては、研究歴史の古い魚種の 一つで、過去、多数の研究者によって、その生態、環境、資源などの研究が行われてきており ますが、サンマは分布領域が広く、しかも産卵期間が長いことなどが、資源量の推定、漁況の 予測を行うに当たって不可欠の年令、成長、系統群の識別などの究明に大きな障害になっている ようであります。
 開発センターでは漁業経営的立場から有用魚種の分布及び資源の現存量を捉えて参りましたが、 この間、研究機関及び業界などの助言で、調査目的の達成に有効と思われるものは直ちに取り 入れるように致しまして、かなりの成果をあげることができました。サンマ研究におきましては サンマ研究グループの人々が鋭意努力を重ねておりますが、特に、サンマ以外の研究に携わって おられる方々には、ぜひ暖かいご助言とご指導をグループの人々と併せて私にも賜りますよう お願い致します。
資源第一研究室長

Yasuo Tanino

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