編集後記


 往く人来る人。わずか半年の間にも世の移ろいはゆっくりとしかし非情で確実な歩みを止めない。人それぞれの感慨をこめたご挨拶がこの度のハイライトである。
 初代所長木村善之助先生は,昨年めでたく喜寿を迎えられ今年は叙勲の栄に浴された。勲三等旭日中緩葦である。まことに春から縁起がいい。お顔の色つやもいたって若々しく,お口もますます滑らかである。話ひとたび大急潮,超大型暖水塊に及ぶや,談論風発して止まるところを知らず,時の経つのもとんと念頭にないご様子である。まことに研究者はすべからくこうでなければ。徒らに右を見左を見ていてはろくなことを成し遂げられるはずがない。所員一同心からのお祝いとともに,ますますのご健康をお祈り申し上げます。
 今年も三陸から常磐の沿岸は親潮が岸寄りに強く張り出して冷たい夏を迎えた。海には霧が多発して陽光を遮り,いつもとは違う好不漁,漁場形成の変化などが報じられている。水の行方は定まらないとわかってはいるが,気まぐれはほどほどに願いたいものである。
 港。漁船はそこから魚を求めて海へ広がり,魚はそこから買手を求めて内陸へ広がる。商品としての魚の流れは港を中心に集まってそして散る。漁業を漁獲から販売にいたる一連のシステムと把えれば,港はまさに要である。水産研究所にいながら港に対する認識が赤ちょうちんのほかはいささか不足がらであった反省をこめて,今回からしばらく東北地方の港の写真で表紙を飾りたいと思う。一枚の写真から水産物の流れとそれをめぐる人の暮しを想って預ければ幸甚である。 
最後に本年度の編集委員名を列記し関係者各位のご支援とご鞭撻をお願い申し上げる次第である。
(H.K)
倉田 博,森 英夫,八百正和,水野恵介,谷口和也,渡辺光男。
kiren@myg.affrc.go.jp

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