編集後記


 1月末のある日、テレビ・ラジオは昨年のサンマ漁を伝えていた。数量は前年より数万トン少ないが、水揚金額は20億円余りも多かったという。それは各地に平均して水揚げされたからだと解説していた。集中水揚げによる価格の暴落(大量貧乏)は経済的にも悲劇であり、エネルギーの浪費でもあり、さらに廻り廻って消費者に高い魚を押しつけることになりかねない。世界最大の生産能力を持つわが国の漁業を管理する技術を作り出す必要に迫られているといえよう。
 感覚的にいうと、カツオであれ、サケであれ、10万トンをこえると生鮮消費が鈍り、多獲性魚類も20万トン程度迄は鮮魚としての需要を持つようである。水産物の需要の伸びについて目安が立った現在では供給側にそれなりの対応が求められている。それはまた研究の多様性、考え方の多様性を一層強く要求しているように見える。最近各研究所で人事のうごきが多くなったこともその反映であろうか。もっとも組織化されている水産研究所で研究者が動くためには、それなりの準備期間を考えねばならないものだ。ともあれ東北区水産研究所においても過去半年の間に鬼頭さんの西海区水産研究所栄転に始まる異動があった。笠原さん、遊佐さんのように官界を去られた方もあった。編集の都合上安井さん、福島さんの言葉しか預けなかったが、次号では外に移られた方から、御言葉を頂こうと考えている。
(S・H)

kiren@myg.affrc.go.jp

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