昭和55年1月〜4月の東北海区近海の海況
水野恵介
1月〜4月の本海区の海況は,水産研究所,水産試験場,気象庁,海上保安庁,防衛庁,その他の機関による観測資料に基づいて月別に東北海区漁場海況概報として刊行される(5月まで既刊)。この間の海況の特徴は次の2点である。
(1)黒潮の近海の北限は1月には37.3゜Nであったが2月以降36゜N付近まで南偏した。また2〜3月に144゜〜145゜Eから黒潮北上分派が北方に張り出し,39゜N付近に達した。
(2)親潮第1分枝の南への張り出しは3月にやや北偏した他は平年並みであった。 しかし表面では北方からの冷水がしばしば三陸・常磐沿岸へ張り出した。
なお,この期間中の海況を2,4月の資料によって述べると次のとおりである。
2月
(1)黒潮主流は野島埼東約90海里の35゜N,141.8゜E
(2.4ノット)を東北東に流れ,35.7゜N,142.5゜E
(2.3ノット)を経て,145゜〜146.5゜Eでは36゜Nを越えた模様。
(2)黒潮北上分派は144.5゜Eを39゜N付近まで北へ張り出した。
(3)釧路南南東約100海里に暖水塊(T100,11℃)があり,その周辺には右旋環流があった。
(4)親潮第1分枝の先端とみられる冷水が39.5゜N,147.3゜Eにあり,第2分枝は釧路沖暖水塊の南東縁から40゜N,147゜E付近にさし込んだ模様。
(5)津軽暖流の尻屋埼東方への張り出しは,133゜E付近までとみられた。
4月
(1)黒潮は犬吠埼沖の35.7゜N,141.5゜E付近を通って東北東に2.7ノットで流れていた。
(2)鮫角沖の40.5゜N,144゜Eを中心とする暖水塊(T100,11℃)があった。釧路南西41゜N,146゜E付近は暖水(T100,9℃)に占められ,親潮域との間で著な潮境を形成していた。
(3)表面では3〜4℃台の冷水が三陸沿岸に広がり,その南限は金華山沖の38.5゜N,142.3゜Eであった。
(4)親潮第1分枝の南への張り出しは39.5゜Nまでであった。また第2分枝は釧路沖の暖水域の沖側41.5°N,148゜E付近に見られた。
(海洋部海洋第1研究室員)
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