冬(3月)
(1)黒潮主流は犬吠埼沖を北東に向い35゜32′N,141゜53′E(2.6ノット)および37゜24′N,143゜33′E(3.2ノット)を通り,37゜50′N,145゜E付近を北限として37゜41′N,145゜15′E(3.2ノット)を通って南東に流去している。
犬吠埼付近から暖水舌が北に延びている。
(2)39゜30′N,144゜E 付近を中心とする暖水塊(T10014℃)があり,その北縁は親潮と顕著な潮境を形成している。
(3)道東は広く親潮におおわれているが,親潮第1分枝の南への張出しは,100mでは40゜Nまで達していない(表面では2℃の冷水が,下北半島と黒埼付近に差し込んでいる)。第2分枝は暖水塊の北縁から東側沿いに南下し,その先端に連らなる冷水(T100 6〜7℃)が,金華山〜常磐近海に分布している。
(4)津軽暖流の東への張出しは狭く,海峡東口付近にとどまっている。
(5)三陸中部以南の沿岸域は,暖水塊の影響をうけて一般に高温に経過した。
春(6月)
(1)5月に大型暖水塊と接触した黒潮主流は,暖水塊の上層部に暖水を流入していたが(写真参照),6月に至って暖水魂を併合した。6月の黒潮は犬吠埼30海里付近より接岸北上傾向が強く,38゜N,143゜E(1.8ノット)を通って39゜N,145゜E(2.7ノット)に達してから南に向かい,37゜N,145゜E(3.8ノット)では南南西に流れていた,黒潮の北縁と西縁には顕著な潮境が発達している。
(2)黒潮北上分派は145゜〜146゜Eを北に延び,その先端部に暖水(T10013℃)がみられる。沖合では151゜E線と156゜E線を北に延びる分派がある。なお,40゜N線以北は近海〜沖合域にかけて,例年より昇温が遅れている。
(3)親潮第1分枝は39゜30′Nまで張り出しており,その巾も広い。親潮第1分枝に連らなる冷水(T1007℃)が三陸南部沿岸にみられる。第2分枝は5月には38゜N,145゜E付近まで張り出した模様であったが,6月には40゜N付近にまで退いた。
(4)津軽暖流の東方への張出しは143゜E付近までとみられ,ほぼ平年並みであるが,暖流域では水温の低い水城がかなり広い。
(5)6月は黒潮による暖水塊の併合と云う珍しい現象が起り,黒潮の強い北上と共に,非常に低水温の親潮(40゜NT100 0℃台)の張出しがみられた。