編集後記


 忙しない半年であった。佐野前海洋第1研究室長が5月、浅野前庶務課長が7月、堀田前企画連絡室長が9月に公務員としての仕事から離れた。その一方で庶務課長に外部から、また資源部に新卒の原素之氏を迎えることができた。堀田氏の跡は小生が埋め、それにともなって本ニュース編集の舵取役という重責まで引付いでしまった。幸い優秀な刊行委員はそのままなので、あとはできるだけの努力を払う心算でいる。
 9月に入って早々にPICESの話を聞かされた。デンマークのCharlottenlundに本部を持つInternational Council for the Exploition of the Sea(先輩の方にはむしろConseill Internatioual pour l'Exploration de la Mer というフランス名の方がJ・du Cons.とともに馴染み深いだろうが)は、今世紀始めから北大西洋を中心とした水産研究に、そして各国の海とその生物に対する理解を揃える上に大きな役割りを果たしてきた。200海里時代を契機に太平洋にも同じような機構を作ろうというのである。各国を結ぶ海が相対的に狭くなったから、あるいは生物の法則を全面的には組込めない人間相互の関係がきびしくなったから、「科学の領域では相対的に自由な意見や情報の交換をしたい、否そうしなくてはならない」という願望の現れであろうか。たしかに7月のICESシンポジウムでも、漁業進出国と沿岸国から出席した研究者の間で、少なくとも表面上は国家主権を越えた議論ができたように思われる。
 それにしても交流の機会が多くなるのにつれて、一つの研究機関の活動力が表面にでてくる。それはまた一つの国なり、社会なりが、科学をどれ程重視しているか、ひいては恣意的に物事を判断するのではないという信頼感をあたえ得るかのバロメーターになろう。この点ついて研究所の内外の理解と協力を得る機会を持ちたいと考えている。
(林記)

kiren@myg.affrc.go.jp

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