再び東北水研に赴任して

堀田秀之


 この度西海区水産研究所から東北区水産研究所に赴任してまいりました。
 東北区水産研究所は、かつて15年という長い間お世話になり、しかも理解ある上司と多くのすぐれた同僚研究者とともに調査研究に専念させていただいたところですから、懐しさと思い出の多い水研です。10年振りに戻ってみますと、東北海区の漁業事情と資源状態の変化、沿岸域における増養殖のめざましい発展などで、とまどいを感じます。
 北日本水域における漁業をめぐる諸情勢の著しい変化、特に200海里漁業専管水域時代への突入によって、我が国漁業を食糧政策的な観点から抜本的に見直し、強力な新秩序の確立が必要になってきました。東北の海域は漁業生産の場として量的な役割をはたし、前任の九州の海は質的な生産の場とそれぞれ特長をもっております。
 最近の国際的・社会的情勢の変化にともなって、東北水研のはたす役割は一層多岐となり、期待もまた大きくなることは必至であります。
 わたくしたちの研究問題の多くは、生産の現場からとらえた問題を手掛かりとして、各専門分野にわかれ、それぞれが専門的に深く追求しています。個々の研究業績の集積とそれらの総合化によってこれまで進めてきた道筋の見直し(点検)が必要であります。
 漁業の当面する深刻さを思うとき、どういう先取り研究(科学的先見性)をすれば役に立つことができるかの見直しも必要であり、そのためには、各試験研究機関・各専門分野との有機的連繋を強め、専門的・総合的研究をすすめなければなりません。これにつなげるには、より深く、しかも専門分野を拡げる基盤となる研究を充実しなくてはならないと思います。
 今後東北の海で、この問題を具体的な場として考えて取り組みたいと念じておりますので、関係各位の積極的な御指導を切にお願いいたします。
(資源部長)

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