48年度から始まる新しい調査研究



 48年度から農林省傘下の農業・畜産・林業・水産の20の試験研究機関と19の都道府県の試験研究機関が参加して「農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究」が5年間の継続研究として開始される。
 農林水産業は本来自然のもとにその生産活動を進めてきたのであるが、近年その生産の効率化を急ぐあまり、自然との調和を忘れた技術の積み重ねがなされ、農薬の過剰使用や、家畜排泄物の無配慮な放出は、他産業の無配慮な汚物の流出と同じく、水系の汚染等の自然環境を悪化してきており、この個々の生産一本槍で開発された技術を環境保全の観点から再評価して、新しい技縮体系を組立て、人間の生活環境と調和した新しい土地利用方式を確立しようという目的で設定されたもの である。
 水産では淡水部門と浅海部門が、この総合研究に参加する。当水研は、この浅海部門の一部を分担する。
 水は高きより低きに流れるの例への通りに、陸上の諸汚物もあるものは短時間に、あるものは長時間をかけて浅海城に流入して来る。
 一万この浅海域では、陸上から由来する栄養源を利用して、古くから増殖養殖業をさらには漁業を通じて、高度の水産生物の生産が行なわれ、水産食品の形として再び陸上に還元されて来ている。
 この浅海域の利用方式は、増養殖技術の発展の側面と、漁家の収入など経済的な側面、更には陸上に由来する栄養源の変動など各々異なった3つの側面の諸要因がからみあって変化しつつあるものといえる。
 東北地方においても、都市の発展は着実に進みつつあり、陸から由来する栄養源の変化は激しさを加えつつある。また増養殖技術の発展も顕著であって、浅海域利用方式も急激な変化をとげつつあり、ここ数年間は上述の諸要因からみても更に変貌することが予測される。
 総合研究ではこの変貌の過程と実態を、増養殖技術発展の過程、社会経済的な変化の過程、及び陸から由来する栄養源の変化の経過の3つの側面から調査を進め、浅海域の土地利用方式の変遷を明らかにすると共に、今後の浅海域の利用方式の確立を計る一助としたいと考えている。
 48年度のこの研究の参加機関は下記の通りである。
担当機関:農業技縮研究所、農事試験場、畜産試験場、草地試験場、果樹試験場、野菜試験場、茶業試験場、農業土木試験場、北海道農業試験場、東北農業試験場、北陸農業試験場、中国農業試験場、九州農業試験業、林業試験場、東北区水産研究所、東海区水産研究所、淡水区水産研究所、蚕糸試験場、家畜衛生試験場、白河種畜牧場。
受託先:北海道中央農業試験場、広島県農業試験場、静岡県茶業試験場、岐阜県茶業試験場、長野県畜産試験場、群馬県畜産試験場、兵庫県畜産試験場、大分県農業技術センター、静岡県養鶏試験場、愛知県農業総合試験場、養鶏研究所、茨城県養豚試験場、埼玉県農業試験場、神奈川県畜産試験場、神奈川県園芸試験場、栃木県蚕業試験場、兵庫県蚕業試験場、岐阜大学、農業機機研究所。

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