プレスリリース
平成13年8月7日
水産庁漁場資源課
独立行政法人水産総合研究センター
東北区水産研究所
平成13年度北西太平洋サンマ長期漁況海況予報

予報対象期間:平成13年8月中旬〜12月

本予報は,平成13年8月6日〜7日、塩釜市において開催された平成13年度北西太平洋サンマ長期漁海況予報会議において、別表の水産関係機関が検討した結果を独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所がとりまとめたものです。
 概要はこのページの下部に記載されています

参考:海況図(現況今後の見通し
漁況図(図1)2001年6月から7月上旬(北上魚群調査等) で採集された流し網一反あたりのサンマの採集個体数(上)と体長組成(下)
漁況図(図2)2001年サンマ漁期前一斉調査 で採集された流し網一反あたりのサンマの採集個体数(上)と体長組成(下)
漁況図(図3)2001年サンマ漁況予報の模式図.


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海況予報
漁況
サンマ北西太平洋群
予報
説明
参画機関
        
1.本予報は水産庁のホームページ(http://www.jfa.maff.go.jp/)に掲載されます。
2.本予報と関係した漁況、海況のより詳細な情報につきましては、東北区水産研究所のホームページ (http://tnfri.fra.affrc.go.jp)をご覧下さい。
3.本予報の内容等に関する問い合わせ先は、以下の通りです。
水産庁増殖推進部漁場資源課沿岸資源班 担当:竹葉・吉岡
住所:〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1
電話:03-3502-8111(内線7376) ファックス:03-3592-0759
電子メール:shinnichi_yoshioka@nm.maff.go.jp
水産総合研究センター東北区水産研究所企画連絡室
住所:〒985−0001 塩釜市新浜町3-27-5
電話:022-365-7196 ファックス:022-367-1250

東北海区海況予報
<<今後の見通し(2001年9〜11月)>>
(1)近海の黒潮の北限位置は,平年並から北偏(37゚N〜38゚N)で推移する.
(2)黒潮系暖水の北への張り出しは,沖合を中心に平年より北寄りに推移する.
近海では,40゚Nを越える.
沖合では,148゚E〜150゚Eで40゚30'Nを越える.
(3)釧路南東沖の暖水塊は,北東へ移動する.鮫角沖の暖水塊は北東へ移動する.
金華山沖合の暖水塊は,西へ移動する.
(4)親潮第1分枝の張り出しは,平年並〜やや強勢(39゚30’N以北)で推移する.
親潮第2分枝の張り出しは,平年並(39゚N付近まで)で推移する.
三陸南部から常磐北部近海では,一時的に冷水域の影響を受ける.
(5)津軽暖流の下北半島東方への張り出しは,平年並(143゚E付近)である.

《海況の経過(2001年1月〜2001年7月)の特徴》
表面水温は,三陸北部から北海道沿岸域で平年より低く推移した.三陸南部以南は,親潮系冷水の影響を受け平年より低めであった沿岸部を除けば,平年並〜高めで推移した.
近海黒潮の北限位置は,3月を除き,北偏傾向で推移した.
2000年9月以降南偏していた親潮第1分枝は,3〜6月の間平年並に戻り,7月に再び南偏した.なお,親潮第1分枝は,3〜5月にかけて北退傾向,5〜7月に南下傾向を示した.

《現況(2001年7月下旬〜8月上旬)の特徴》
(1)近海の黒潮の北限位置は,北偏(38゚10’ N).
(2)黒潮系暖水の北への張り出しは,近海・沖合とも平年並.
(3)暖水塊が,釧路の南東約300km沖(42゚N,148゚E),鮫角の東約250km沖(40゚30'N,144゚30’E),および金華山の東約500km沖(38゚N,148゚E)にある(*).
(4)親潮第1分枝の張り出しは,平年並(40゚20’N).
親潮第2分枝の張り出しは,平年並(39゚20’N).
親潮第1分枝に連なる冷水が,38゚30’Nまで達している.
親潮第2分枝に連なる冷水が,38゚30’Nまで達している.
(5)津軽暖流の下北半島東方への張り出しは,やや強勢(143゚10'E).

注: 現況および今後の見通しはを参照のこと.
(*)は人工衛星情報による.
「近海」は146゚E以西,「沖合」は146゚E以東を表す.

漁況予報
サンマ北西太平洋群

予測期間 2001(平成13)年8月中旬〜12月
予測海域 北西太平洋(道東沖から常磐沖)
予測漁業 サンマ棒受網

 魚体の大きさは肉体長(≒体長)で表示し、便宜的に大型魚(29〜32cm)、中型魚 (24〜29cm)、小型魚(20〜24cm)およびジャミ(20cm以下)と区分した。また、本予報での沖合域は東経147度以東、沿岸域は147度以西を示す。

予 報

(1)来遊量:来遊量は昨年を上回る。
(2)漁期・漁場:大型船の出漁後の漁場は、色丹島周辺に形成される。漁期の進行に伴い漁場は沿岸域の冷水に沿って道東沖に移動する。道東沖の漁場は平年より早めに形成されるが、三陸沖への漁場の南下は平年並み。
(3)魚体:漁期当初は中型魚主体であるが、沖合域から個体数の半数を大型魚が占める魚群が漁場に加入する。しかし、漁期後半には、中小型魚の割合が急激に増加する。

説 明

 サンマの漁獲量は1990年以降毎年25万トンを越え安定していたが、1998年には漁獲量が14万トンと前年比の約半分に落ち込み、1999年も13.5万トンと2年連続して低い水準にとどまった。このことから資源の状態は、減少傾向ならびに変動の大きい時期に入ったと考えられた。しかし、2000年漁期の水揚げ量は21.2万トンと再び20万トンを越えたことから、漁獲量の年変動の幅が大きくなっており、資源予測が困難な時期に入っていると考えられる。本予報は例年通り行われた加入量調査による季節ごとの仔稚魚の発生水準の評価、6月中旬から7月下旬に流し網等を用いて行われた北上期調査および漁期前一斉調査の資源量調査結果および漁業の情報のデータに基づいている。このほか、本年から東北区水産研究所では中層トロールを用いた資源量の直接推定の試みを始めたため、この結果についても今年の漁期の予報資料として用いた。

(1)来遊量
 北上期調査(6月〜7月上旬)および漁期前一斉調査(7月中旬以降)で行われた流し網調査の結果、流し網一反あたりのサンマの採集個体数が昨年を上回り、採集された調査点も沿岸から沖合の広い範囲にわたったことから、本年は魚群が広く高い密度で分布していることが確認された。
 6月からの北上期における流し網調査は、東北区水産研究所用船の北鳳丸、北海道立釧路水産試験場北辰丸、福島県水産試験場いわき丸および茨城県水産試験場水戸丸が行った。流し網一反あたりの採集尾数は9.9個体であり、昨年の結果(2.3個体)を大きく上回っており、サンマが採集された調査点も沿岸から沖合まで、広範囲であった。また、東北区水産研究所八戸支所が行った中層トロールの結果でも、多数のサンマが広範囲で漁獲された。7月中旬からの東北区水産研究所用船の北鳳丸、北海道立釧路水産試験場北辰丸、岩手県水産技術センター岩手丸、宮城県水産研究開発センター拓洋丸、福島県水産試験場いわき丸、茨城県水産試験場水戸丸、千葉県水産研究センター房総丸および宮城県産業経済部新宮城丸が行った漁期前一斉調査で行われた流し網および中層トロールの漁獲試験においてもサンマは多数採集され、流し網一反あたりの採集個体数は15.4個体(2000年は10.4個体)と過去5年で最高であった。以上の結果から、調査実施時期に沿岸および沖合を北上したサンマ資源は昨年より大きかったと考えられる。
 また、7月10日から解禁になった小型船の水揚げ量は7月末には2,000トンを超え、昨年の約10倍となっている。仔稚魚を対象とした加入量調査による季節ごとの結果では、2000年秋期(9月〜12月) における稚魚採集数が平年をやや下回ったものの、2001年冬季(1月〜3月)、2001年春季(4月〜6月)は高い値を示しており、安定した再生産が続いたと考えられた。
 以上のことから、今漁期の来遊量は昨年を上回ると考えられた。
(2)漁期・漁場
道東沖の水温および漁場の沖合化の指数となる沖合における親潮前線の位置が平年並みであることから、漁場は比較的沿岸寄りに形成されると考えられる。道東沖は親潮水に覆われるため、この海域への漁場の移動は平年より早いと考えられる。魚群の南下を阻む暖水塊や津軽暖流の強い張り出しがないことから、三陸沖への魚群の南下は平年並みであろう。
(3)魚体
  北上期の体長組成は大型魚および中・小型魚の2峰モードであった。一方、7月中旬以降の漁期前一斉調査時に採集されたサンマの体長組成は、海域および水温により以下の特徴があった。すなわち、沿岸域では大型魚と中型魚およびジャミの3峰形、沖合15℃未満の低水温域では中型魚と大型魚の2峰形、沖合の15℃以上の高水温域では小型魚からジャミにモードを持つ単峰形であった。現在、小型棒受網船は中型魚を主体に漁獲しているが、これらは沿岸を北上した大型魚と中型魚と考えられる。中型船と大型船の出漁後は漁場が沖合に広がることおよび沖合からの魚群の来遊により、漁期前調査において沖合で確認された魚群が漁獲対象になると考えられる。北側の低水温域で確認された魚群が先に漁場に加入すると考えられるが、この魚群では大型魚の個体数の割合は約50%であった。漁期の進行に伴い、調査時に南側海域に分布していた小型魚およびジャミ主体の魚群も加入してくると考えられるが、この魚群の大型魚および中型魚が占める比率は非常に低いため、漁期後半以降は来遊資源の体長は急速に小さくなると考えられる。

参画機関
北海道立釧路水産試験場
北海道立網走水産試験場
岩手県水産技術センター
宮城県水産研究開発センター
宮城県産業経済部
福島県水産試験場
茨城県水産試験場
千葉県水産研究センター
静岡県水産試験場
三重県水産技術センター
(社)漁業情報サービスセンター
水産庁漁場資源課
独立行政法人水産総合研究センター
北海道区水産研究所
東北区水産研究所
中央水産研究所