東北海区沿岸水温予報(2000年)
海域経過
(1〜8月)
現況
(9月上旬〜下旬)
見通し
(10〜12月)
見通しの背景特異現象
(漁海況)
三陸北部(青森県太平洋沿岸;青森水試発表) 各層最高水温は,0m:平年並〜やや高め,50m:平年並,100m:平年並.津軽暖流の水塊深度は平年並〜やや浅め,張り出しはやや西偏〜平年並.沿岸定地水温は,平年並〜かなり高め. 津軽暖流の張り出しは前月より弱め.沿岸定地水温は,高めで推移.泊・八戸がかなり高め,尻労がやや高めで、階上は平年並.この期間,定線観測なし. 津軽暖流域の水温は平年並〜やや高め.水塊深度は平年並.張り出しは平年並.沿岸定地水温は,期間前半でかなり高め、後半でやや高め. 青森県沿岸域における対馬暖流の影響は2〜3ヶ月を経て津軽海峡口に現れるとされる.対馬暖流の勢力は,8月以降は平年並に推移.沿岸定置水温は高め基調で推移.気象庁予報では,親潮第1分枝の南への張り出しは平年並. 階上沖で、平成11年10月の集中豪雨による土砂流出の影響でミルガイ不良.海藻の成育が不良、ウニの実入も悪い.夏場にヒラツメガニの漁獲多く、ヒラメ・カレイ類が不漁.
三陸中部(岩手県沿岸;岩手水セ発表) 全体的に表面水温では平年並み〜高め,7月は表面で平年並み〜やや高め,100m深で冷水域の存在により部分的にやや低め.8月は親潮系水の南下により県北部で平年並み〜やや低め.県中部以南で暖水塊の影響により平年並み〜高め. 10海里以内は平年並み〜やや高め基調.10〜70海里では県北部の一部で親潮系水の影響を受け平年並み〜低め,その他は暖水塊の接近により表面でやや高め,100m深で高め〜極めて高め. 10海里以内は平年並み〜やや高め基調,10〜70海里は県北部で平年並み〜やや低め,県中部以南で平年並み〜高め推移. 10海里以内は経過と津軽暖流の勢力.10〜70海里は親潮の存在及び暖水塊の存在. 定置網によるショッコ(ブリの幼魚)の水揚げが9月中旬現在で年累計2,589トン(前年の約51倍).
三陸南部(宮城県沿岸;宮城水セ発表) 1月は142゚Eを中心に帯状に冷水が差込み,表面・100m深ともに平年より低め.2〜3月は概ね平年並.4〜5月は沖合南部を中心に表面,100 m深ともに2〜5℃低め.6〜7月は表面では平年より2〜4℃高めだが,100m深では2〜4℃低め.8月は表面水温は沖合北部を中心に2〜4℃高め.100m深では沖合北部で2〜5℃高めだが,他の海域では2〜4℃低め. 表面は広く22〜24℃台の水で占められ,ほぼ平年並.100m深では沖合北部を中心に平年より2〜11℃高め.沖合南部には2℃台の冷水が見られ,この周辺では平年より2〜5℃低めとなった. 表面水温は平年並〜やや高め.100m深水温は,三陸沖暖水塊の影響を受ける沖合北部で平年よりやや高め,他の海域ではやや低め〜平年並で推移. 黒潮の北限緯度は4月頃から平年並で,親潮第1分枝の南限緯度は5月頃から平年並.しかし,親潮第1分枝に連なる冷水の緯度は平年より南偏傾向が続いている.三陸沖暖水塊には南から暖水供給があり,今後は北へ移動すると考えられる. シイラ(水揚量前年比145%)・トビウオ(水揚量過去5年間で最高)豊漁.
常磐北部(福島県沿岸;福島水試発表) 1月〜4月:1月は親潮系冷水の南下に伴い,低め基調.2〜4月はやや低め〜平年並で推移した.5,6月:沿岸部で親潮系冷水の差込が強く,表層,下層とも低めとなった.7,8月:概ね平年並で推移したが,断続的な親潮系冷水の南下が見られ,8月には下層で低めとなった. 9月:表面水温は22〜24℃台の単調な分布となり,平年並.下層では沿岸で高め,沖合で低めの傾向で,全体的には平年よりやや高めで推移. 沿岸部で平年並,沖合で平年並〜やや高め. 1〜6月は低め基調で推移し,その後7〜9月で平年並〜やや高めという経過から,全体的にはやや高めで推移すると考えた.沿岸部では,親潮系冷水の沿岸部への波及が予測されることから,平年並とした. オキアミ,コウナゴの豊漁.6月100m深水温で1℃台が見られた.
常磐南部〜鹿島灘(茨城県沿岸;茨城水試発表) 4月:黒潮の北偏傾向が持続し,沖合から沿岸域に黒潮からの暖水が波及していた.5〜6月:黒潮の北偏傾向が平年並に戻り,北部海域に親潮から派生した冷水の差し込みがみられ、6月にはこの冷水域は南下・拡大した.7月:沖合から沿岸域に黒潮からの暖水が波及して昇温したが,常磐南部沿岸域の下層には冷水域が存在していた.8月:黒潮の北偏傾向は平年並で,常磐南部沖合には冷水域が存在していた. 黒潮は平年並で, 本県中央部沖合には冷水域が存在していた. 沿岸域では平年並〜やや高め, 沖合域では平年並〜やや低めで推移する. 本県中央部沖合には親潮から派生した冷水が存在し,今後も持続すると考えられるため,冷水の影響を受ける沖合域では平年並〜やや低めで推移すると考えられる. 黒潮の北偏傾向が4月中旬まで持続した.まき網にカタクチイワシ平成11年級群の漁獲がみられなかった.浮魚・底魚とも全般的に低調な漁模様であった.オキアミの漁場形成が不安定であった.春シラスが3年続きで不漁であった.5〜6月にマダイの好漁(定置・延縄・流し刺網)がみられた.