平成10年度カツオ漁海況予報
- 1)東北海区の海況
- 《海況の経過(1998年1〜5月)》
- 《現況(1998年5月下旬〜6月上旬)》
- 《今後の見通し(1998年7〜11月)》
- 《海況の見通しの背景》
- 2)カツオ漁況《1998年4・5月の漁況》
- 1.竿釣り漁況
- 2.曳縄漁況
- 3.近海まき網漁況
- 3)東北海区における竿釣漁況の見通し
- 4)参加機関
1)東北海区の海況
<<海況の経過(1998年1〜5月)>>
各月の具体的な位置・水温は表1及び100・200m水温図を参照のこと.(*)は人工衛
星情報による.
(参考)近海=146゜E以西,沖合=146゜E以東,黒潮流軸=200m14℃,
黒潮系暖水=100m10℃以上,親潮水=100m5℃以下.
黒潮域
・房総沖での黒潮離接・・・・1・3・5月平年並,2・4月接岸
・近海の黒潮の北限・・・・・1〜3月はやや南偏,4月不明,5月平年並.
・沖合の黒潮の北限・・・・・4月まで不明.5月は34゜30'N〜35゜10'N.
混合域
・黒潮系暖水
(1)近海の北限・・・2・3は平年より北寄り,4・5月平年並.
(2)沖合の北限・・・データ不足により不明な部分多いが概ね平年並.
・暖水塊
(1)釧路沖暖水塊・・・・・・・・・・1〜3月西進,4月以降東進.
(2)1月に三陸沖にあった暖水塊・・・2月に暖水域に変化し,3月に消失.
(3)2月に認められた常磐沖暖水塊・・4月に2つに分離し,一方は常磐近海に,
他方は金華山沖に達した
・その他
(1)暖水域・・・2,3月に常磐〜三陸沖にあった.
(2)冷水域・・・2・5月に常磐〜三陸沖にあった.
親潮域
・親潮第1分枝
(1)先端緯度(図5)・・・1〜3月に南下,4〜5月に北退.平年値より南寄り.
(2)連なる冷水・・・・3月に三陸沖にあった.
・親潮第2分枝
(1)先端緯度・・・・2・4・5月は平年値より南寄り.
(2)連なる冷水・・・5月に37゜10'Nに見られた.
・冷水の南端緯度(図6・図7)
(1)第1分枝出現水域・・・概ね平年並
(2)第2分枝出現水域・・・3月不明,1,2,4月は平年並〜北寄り,5月南寄り.
津軽暖流域
・下北半島東方での張り出し・・・1月強勢(*),2月以降は概ね平年並.
・100m深最高水温・・・・・・3月は7℃台と低かった.
《現況(1998年5月下旬〜6月上旬)》(参考図)
黒潮域
・房総沖での黒潮離接・・・やや接岸.
・近海の黒潮の北限・・・・やや南偏.
混合域
・黒潮系暖水
(1)近海の北限・・・平年並
(2)沖合の北限・・・平年並〜北寄り
・暖水塊
(1)釧路沖暖水塊・・・・5月から大きく移動していない(*)
(2)金華山沖暖水塊・・・位置は5月からほぼ変化なし.
(3)常磐近海の暖水塊・・5月より東進した.
・その他
(1)暖水域・・・無し
(2)冷水域・・・データ不足のため不明.
親潮域
・親潮第1分枝の先端緯度・・・・平年値より南寄りだが,平年並の範囲内.
・親潮第2分枝の先端緯度・・・・平年値より南寄り.
津軽暖流域
・下北半島東方での張り出し・・・平年並.
<<今後の見通し(1998年7〜11月)>>(参考図)
(1) 近海の黒潮の北限は35゜30'N〜36゜30'Nで推移する.
(2) 黒潮系暖水の北への張り出しは,平年並に推移する.
近海(146゜E以西)では,11月までに41゜N付近まで張り出す.
沖合では148゜E〜150゜Eで40゜Nを越えて張り出す.
(3) 釧路沖暖水塊は北東へ移動する.金華山沖暖水塊は持続する.
(4) 親潮第1分枝は三陸南部から北退し,11月には襟裳岬近海(40゜N
以北)まで退く.親潮第2分枝の張り出しは37゜N付近までである.
(5) 津軽暖流の下北半島東方への張り出しは,平年並(143゜E付近)である.
《海況の見通しの背景》
現在までの本年の海況の経過に加えて,以下の知見・情報を参考にした.
東北海区の水温場
(1)長期傾向(0m)・・・・・・・1995年以降,平年並〜やや低温(図1)
(2)本年の経過(0m)・・・・・・東北沖合では平年並〜やや低温(図2)
(3)本年の暖・冷水の勢力(100m)・・・・近海では概ね平年並(図3,図5,図6,図7)
(4)水温場と海況との関係・・・・・東北海域100m深水温が正(負)偏差時に黒潮
及び親潮第1分枝は北(南)偏する
(1)〜(3)→本年の東北海区の表面水温は,平年並〜やや低温の時期.
(4) →黒潮,黒潮系暖水の北上,親潮の南下は近海で概ね平年並の見込み.
近海の黒潮北限位置
(1)長期傾向・・・・1992年以降は南偏傾向(図4)で,近年はやや南偏〜平年並.
(2)本年の経過・・・1〜3月はやや南偏,5月平年並,現況ではやや南偏.
(3)日本南岸の黒潮の予報(中央水研)・・・大蛇行はないが,小蛇行はある.
→ 平年並〜やや南偏(35゜30'〜36゜30'N)に位置するが,変動がある.
暖水塊の動向
(1)釧路沖暖水塊の経過・・・・・1993年2月から認められ,昨年道東沖に達した.
1998年4月より北東へ移動.
(2)道東沖暖水塊の移動傾向・・・北東方向に移動するが,平均移動速度は小さい.
(3)常磐沖暖水塊の経過・・・・・2月に出現し5月に2つに分離.一方は金華山沖に
北上,他方は常磐近海に達した.
(4)東北近海域の暖水塊の移動傾向・・夏以降に北上し秋以降は北上傾向が強まる.
(5)黒潮続流に近い暖水塊の事例・・・黒潮に取り込まれる可能性がある.
(1)(2)→ 釧路沖の暖水塊は北東へ移動.
(4)→ 金華山沖暖水塊は,秋以降に北上し三陸北部に達する可能性あり.
(4)(5)→ 常磐近海の暖水塊は,北上する可能性と黒潮に取り込まれる可能性が
あり,今後の動向に注意が必要.
黒潮系暖水の勢力(図3および各月100m深水温図)
・近海
(1)本年の経過・・・・・・・4月以降平年並.
(2)近海の暖水塊の動向・・・常磐近海の暖水塊の存在と金華山沖暖水塊の持続.
(3)季節変動傾向・・・・・・夏〜秋に徐々に張り出しを強める.
(2)→ 暖水の断続的な北上がある見込み.
(1)〜(3)→ 平年並に推移しながら,11月に41゜N付近に北上.
・沖合
(1)本年の経過・・・・・・・平年並〜北寄り.
(2)季節変動傾向・・・・・・夏〜秋に徐々に張り出しを強める.
→ 今後も平年並〜北寄りで推移し,11月には40゜Nを越えて張り出す.
親潮の勢力
・親潮第1分枝
(1)本年の経過・・・・・2月以降南寄りだが平年並の範囲内で推移(図5).
(2)季節変動傾向・・・・夏から秋にかけて北退する(図5)
(3)大気との関係・・・・夏秋季に親潮の勢力が一時的に強まる可能性あり
→ 親潮第1分枝は三陸南部〜襟裳岬近海に分布する
・親潮第2分枝
(1)最近の経過・・・・・5月に南下し,現況では38゜50'N.
(2)過去の事例・・・・・三陸沖暖水塊の東側を張り出す.
(3)季節変動傾向・・・・秋に北に退く.
(4)連なる冷水の動向・・5月及び現況では南下が強い(図7)
→ 今後は北退し,最も南下しても37゜N付近までである.
・津軽暖流
(1)最近の下北半島東方での張り出し・・・ほぼ平年並.
(2)対馬暖流流勢の経過(青森水試)・・・・6月の流勢はやや強め.
(3)対馬暖流と津軽暖流の関係・・・・・・位相差2〜3か月程度.
→ 今後津軽暖流の勢力は,平年並で推移.
→ 10月までに下北半島東方へ143゜E付近まで張り出す.
気象庁関係の予報
(1)気象庁海面水温予想(7〜9月)・・日本近海では全般に平年並の見込み.
(2)気象庁の3か月予報・・・・・・東北地方6〜8月の平均気温・降水量は平年並.
2)カツオ漁況
《1998年4・5月の漁況》
1. 竿釣り漁況
鹿児島県における漁況
枕崎山川水揚げ分の中小型竿釣り船(宮崎県船等)漁況は、3月に43隻で432.8トンと
平年を大幅に上回る水揚げがあり、銘柄別では大カツオ(4.5kg上)が344.0トンで全
体の79.5%を占め、ついで中カツオ(2.5〜4.5kg)が45.5トン、小カツオが37.3トン
であった。しかし、4月以降は低調な水揚げ状況となっている。
名瀬漁協の中型竿釣り船漁況は、漁模様は安定しており、4月は113.7トンと昨年の
1.3倍の水揚げがあった。4月の漁獲の中心は、1.5kg台のカツオであった。
瀬戸内漁協の小型竿釣り船漁況は、安定した漁模様で、4月は45.7トンと昨年より下
回ったものの平年並であり、5、6月に入っても1.0〜2.0kgサイズのカツオを中心に
0.8〜1.0トン/隻・日の安定した漁獲が続いている。
宮崎県中型竿釣り船の漁況
4月〜5月中旬の総漁獲量は3,056.3トンで、昨年(5,428.2トン)を44%も下回った。
海域別には、135゜E以東は1,295.5トンで昨年(2,919.7トン)より66%も減少した。
4月の漁獲量(QRY集計)は、1,761.3トンで昨年比で38%の減少となり、CPUEは1.5ポ
イント下回った。本年は、135゜E以東(主漁場:伊豆諸島近海)への出漁が早く、有
漁船隻数が増加した(昨年比46%増)が、漁獲量は昨年を20%も下回り、CPUEも2.8
と低調であった。135゜E以西(主漁場:薩南海域)の有漁船隻数、漁獲量とも昨年よ
り大幅に減少した。(漁獲量は昨年比48%減)。
5月(中旬まで集計)の漁獲量は1,295.0トンで、4月に引き続き昨年より大幅に減少
した。(昨年比50%減)。135゜E以東で予想したほどの漁獲がなかったため,西側へ
戻ってきた船も多くいた。CPUEは3.6と4月と比べれば少しは良くなったが、昨年と比
較すると2.5ポイントのマイナスであった。
また、カツオ漁獲量の旬別推移(1〜5月中旬)は3月下旬までは順調であったが、4月
以降伸び悩み、過去10年間で最低の水準となった。3〜5月の薩南海区漁獲量の推移
は、平成2年以降徐々に低下傾向が見られ、旬別推移同様本年は昭和57年以降最低と
なった。
高知県沿岸域の漁況
3月から始まった沿岸竿釣り漁は、漁始めから5月末現在の佐賀町漁協への水揚量は
138.8トン(前年同期237.6トン)、宇佐漁協へは112.1トン(前年同期39.5トン)、
甲浦漁協へは69.1トン(前年同期94.8トン)と宇佐漁協のみ前年を上回ったが、1航
海当たりの水揚量では各漁協とも前年を下回った。
土佐鰹所属船の漁況
3月は、上旬には小笠原近海を主漁場とし、中旬には小笠原から八丈島周辺海域およ
び琉球列島西側海域、下旬には小笠原から八丈島周辺海域が漁場となり、前年同期に
比べ漁場が北よりに形成された。漁獲量は上旬が171.4トン、中旬が243.6トン、下旬
が319.7トンと昨年同期を下回っている。また、CPUE(有漁船1日1隻あたり漁獲量)
は、上旬が4.2トン、中旬が2.9トン、下旬が2.6トンであった。魚体は、特大(6kg以
上)、大(4kg以上)、で全漁獲量の67%を占めている。
4月は、上旬、中旬には小笠原近海から八丈島にかけた海域および野島崎東方海域が
漁場であったが、下旬には八丈島から野島崎東方海域のみとなり、前年同期に見られ
た九州から紀州沖合での漁場形成は見られなかった。漁獲量は上旬が345.0トン、中
旬が342.6トン、下旬が607.8トンと前年同期を下回り、CPUEについても上、中、下旬
ともに前年を下回った。魚体は上・中旬は中(2.5kg以上)が主体であったが、下旬に
は小(1.5kg以上)、極小(1kg以上)が主体となった。
5月は、上旬には4月同様八丈島から野島崎東方海域で操業し、中・下旬には野島崎東
方東経150゜の海域まで漁場となった。漁獲量は上旬が261.1トン、中旬が446.3トン、
下旬が442.1トンと前年同期を大幅に下回り、CPUEも同様に上、中、下旬とも前年を
下回った。魚体は、小(1.5kg以上)、極小(1kg以上)が主体で全体の80%を占めて
いる。
和歌山県小型竿釣り船の漁況
98年、潮岬周辺で操業する7〜13トン型の小型竿釣り船のカツオ水揚げが始まったの
は4月下旬からで、ほとんどが三重県船による水揚げであった。5月下旬までは潮岬沖
の黒潮北辺付近の「流れ物」あるいは素群が対象で、カツオにビンタ(キハダ幼魚)、
シイラ混じりで漁獲された。蛇行が通過した後、熊野灘南部に漁場が集中しているが,
日によって餌食いが悪く釣果に結びつかないことも多く安定した漁獲ではない。
主要3港の98年4月水揚量は66トンで、89年以降の10年間では第1位の漁獲で始まった
が、5月は一転して約70トンと低調な漁となった。
体長組成は、好漁年に見られるような明瞭なピークがなく、釣り鐘型の体長組成で
あった。
三重県中型竿釣り船の漁況
3月に伊豆列島沿いに北上をはじめた漁場は、伊豆列島東側の28゜〜29゜N、140゜〜142゜
Eを経て32゜〜33゜N、140゜〜142゜Eに集中した後、5月には伊豆列島西側から常磐沖の
32゜〜36゜N、138゜〜149゜Eと潮岬の黒潮流軸周辺に広く分散した。今期もビンナガ混じ
りの操業となり、特に4月はビンナガ主体の漁況となった。3〜5月のカツオ漁獲量は
2,376トン、CPUEは3.4トンで、好漁となった前年同期の漁獲量あ(約4,300トン)を
大幅に下回った。5月以降はカツオ魚価高によりカツオ主体の操業となったが、同月
のカツオ漁獲量は925.5トンと前年比36%にとどまっている。
なお、大型カツオ船も中・南方海域(11゜〜13゜N、160゜E)での漁況が好調
(60トン/日/隻を最高に各船約350トン/隻の水揚量)で、カツオ魚価が300円以上の
高値で推移しているので、6月以降も近海のビンナガ漁場には移行せず、中・南方漁場へ
出漁を予定している船が多い。
三重県沿岸小型船の漁況
本年は漁期初めの1〜3月が不調であったが、沿岸小型船の竿釣りが本格化した4月よ
り漁況は好転し、4月の県内主要4項の水揚量は220トンと前年同月の2倍以上を記録し
た.5月は荒天による出漁日数の減少に伴い、水揚量は前年同月比約1/2の135トンに減
少した。総じて4・5月の総水揚量は355トンとほぼ前年同期並(384トン)であった。
魚体は、40〜45cm、2.0kg以下の小型魚が80%を占め、前年同様、小型魚の割合が高
かった。5月には65〜70cm級5kg以上の大型魚の出現も目立った。
静岡県中型竿釣り船の漁況
4月前半は、伊豆諸島東から黒潮続流域に小、中ビンナガ主体の漁場が形成され、
中、大、小カツオも漁獲されたが、1日1隻あたり漁獲量はビンナガ・カツオを合わせ
て5トン程度であった。4月後半になり、金州〜三宅島付近の黒潮流路沿い(表面水温
19.7〜21.8℃)に極小、小カツオ(体長41〜43cmモード)の漁場が形成され、下旬に
は1日1隻あたり5.0〜6.0トン程度の漁獲があった。;
5月は、伊豆諸島沿いの瀬漁場でカツオ主体の操業を行った。魚体は、極小、小カツオ
(体長41〜43cmモード)を主体としながらも、当時期には珍しく特大、大カツオも
漁獲された。瀬漁場での1日1隻あたり漁獲量は、0.5〜7.5トン程度と多くはなかった。
また中旬以降、一部の船は32゜N・142゜〜143゜E(表面水温22.4〜22.6℃)周辺に
出漁し、中・小ビンナガ主体の操業を行った。中旬の1日1隻あたり漁獲量は、ビンナ
ガを主体に0.5〜4.0トンであった。
4〜5月の漁況を概観すると、4月後半を除いて、伊豆諸島域でのカツオ漁場形成は低
調であった。また漁獲物の組成も、5月に特大、大カツオが漁獲されるなど、多岐に
亘っていた。
神奈川県小型竿釣り船の漁況
神奈川県主要漁協におけるカツオ水揚量は、4月が1114kg、5月が368kgと平年よりか
なり下回っている。主な漁場は大島まわりであるが、食いが悪く漁が続かないそうで
ある。現在出漁している船は小型竿釣り船1隻。1月から3月までの水揚げはなかった。
茨城県の漁況
水揚げは4月中旬から始まり、4月は入港船11隻で54トン、5月は19隻で154トンの水揚
げがあった。4月、5月は比較的黒潮前線よりで漁場が形成されたため入港船が見られ
たが、6月に入り前線南側のビンナガ漁に切り換えたため入港船が少なかった。
那珂湊港における体長測定標本魚群の漁獲位置と体長組成では、4月上旬から中旬に
は50〜60cmの3歳魚の割合が高く、下旬に近づくにつれて40〜50cmの2歳魚の割合が高
まった。(モード44cm)5月に入ると主体は完全に2歳魚になり、中旬には黒潮前線に
漁場が形成された。2歳魚の体長モードは41〜42cm群と、44〜46cm群に2分された。
41〜42cm群は5月初旬34〜35N・141〜143N、32N・140Eの流れ物、23N141Eの瀬、36N・
148〜149Eの沖合いに分布していた。
福島県の漁況
本県への竿釣り船の初水揚げは4月18日で昨年より6日遅かった。竿釣りによる水揚量
は4月が1隻10トン、5月も1隻10トンと低調に推移した。これは過去(昭和60年以降)
と比較しても最も低い水揚量である。
漁業情報サービスセンターによる漁況情報
A.南西諸島海域
漁場は、奄美大島周辺パヤオ漁場(27゜04′〜80゜05′N・127゜04′〜129゜29′E)で、
水温21.9〜27.4℃に形成されている。
漁獲は最高11トン 平均1〜8トンとやや低調に経過している。
魚体は極小・チンピラ・中・大中・特大混じり。また、カツオのほかシビコ・小ダル
マ・シイラ混じり。
B.四国沿岸〜遠洲灘沿岸海域
遠洲灘の漁場は、4月下旬〜5月上旬にかけて、御蔵島〜神津島(33°50′〜
34°10′N・138°00′〜139°30′E)水温21.0〜23.0に形成された。漁獲は、最高20
トン平均2〜11トンの比較的まとまった漁模様。魚体は、1.2〜2.0kg。
四国沿岸〜紀伊半島漁場は、豊後道水道・甲浦・海部・引本・鍋沖に形成されてい
る。漁獲は、平均0.1〜2.6トンの低調な漁模様。魚体は、小・中主体。
C.小笠原〜伊豆諸島周辺海域
西之島周辺漁場は、28°30′〜 29°30′N・141°20′〜142°10′Eに形成された。
漁獲は、 最高20トン平均5〜12トン。魚体は、8〜12kgの特大主体。
松生場〜海徳場(31°00′N・139°00′E)では、平均2〜6トンの漁獲。魚体葉、
1.5kg主体。
八丈島南方(32°50′〜33°30′N・139°50′〜140°20′E)では、最高7トン平均3
トン。漁体中小大混じり。
D.伊豆諸島東方海域
八丈島北東沖漁場は,33°34′〜35°20′N・141°00′〜144°00′E 水温22.0〜
24.0℃に形成された。漁獲は、最高25トン平均2〜8トン。魚体は極小・小・中。
常磐沖漁場は、33°30′〜36°30′N・143°50′〜148°00′E 水温20.0〜22.0℃に
形成された。漁獲は、最高30トン、平均2〜10トンとやや低調気味。魚体は、極小・
小・チン。
2.曳縄漁況
鹿児島県の漁況
1月は時化で出漁出来ない日が多く、水揚量も少なかったが、2月から5月上旬までは
好調な水揚げで、特に2月は35.5トン、4月は59.3トンと過去3年を大幅に上回る水揚
げであった。銘柄別漁獲は1.5〜2.0kg台(平均体長43.5cm)が主体で、2.0〜3.0kg
(平均体長47.9cm)が30%程度、3.0〜4.0kg(平均体長54.5cm)が20%程度であった。
高知県沿岸の漁況
曳縄漁は2月の初旬から始まったが、主要6項の水揚量は2kg未満の小型魚を主体に4月
は279.4トン、5月は59.3トンで、漁期始めの2月から5月末現在の水揚量では447.6トン
(前年同期527.6トン)と前年には及ばないものの好漁で推移した。
和歌山県沿岸の漁況
カツオ曳縄漁は1月下旬に潮岬南沖30-50マイル付近の黒潮南縁で沖泊操業でのビンナ
ガに混獲されて漁が始まった。2月中旬には潮岬沖を通過した小蛇行の黒潮北縁から
沿岸域で一時的に漁場形成があり、沿岸近くでの初漁が早かった。例年、漁期初めの
1〜2月には黒潮南縁の操業が主体で、黒潮北縁が主漁場になることはない。
2月末から3月はじめに紀伊半島西岸の10マイル内の沿岸域に漁場が形成され、それ以
降は黒潮南縁が漁場となることはなかった。黒潮南縁の群が薄く漁場形成がなかった
ことが98年の大きな特徴である(ビンナガも同様)。3月中旬に黒潮南縁から沖側へ
出漁した船も数隻あるようだが、カツオ・ビンナガ群は見られず、このようなことは
過去に経験したことがないとの情報が寄せられている。
3月下旬にビンナガの漁獲が低調となってカツオ漁が本格化した。
カツオ漁の盛期は3月末〜4月上旬で、4月下旬にも好漁が見られたが長続きしなかっ
た。4月下旬には好漁場を求めて大王埼〜伊豆半島方面へ約100隻が出漁するように
なった。
4月末から漁況は低調となり始め、5/16以降、漁獲はビンタ(キハダ幼魚)主体と
なって、曳縄カツオ漁はほぼ終漁となった。
このように黒潮南縁で魚群が薄く、全くと言っていいほど漁場は形成されなかった。
漁場は、黒潮北縁〜沿岸域で沿岸近くに形成されることが多かった。このため、5トン
以上船は沖泊操業できず日帰り操業のため低調、これに対し5トン以下の小型船は
沿岸操業でまずまずの漁模様で経過した。
体長組成は、漁期はじめの1-2月に70cm級の大型と55cm級の中型および40-50cm級の小
型が混じっていた。3月には漁獲の主体は小型の40-47cm級へ変わり、これが漁期終盤
までの主群であった。
千葉県の漁況
千葉県船のカツオ曳縄漁は最近より早く伊豆諸島南部海域で2月中旬に本格化した。
2月中旬後半に八丈島東沖で千葉県船による大量(400〜1,000kg/日・隻)の漁獲が
あった。2月中旬の主要3港(天津・勝浦・船形)のCPUE(1日1隻あたり漁獲量)は最
近5年と比較すると極めて高い値(約300kg/日・隻)であったが、その後漁況は低調
になり、30〜80kg/日・隻で推移した。3月下旬から漁況が上向き始め、CPUEは、3月
下旬以降119〜219kg/日・隻で経過したが、5月以降再び低調となり、100kg/日・隻
以下で経過している。2〜5月の主要3港での漁獲量は240トンで、昨年(165トン)の
1.45倍であった。
漁場は初漁期には三宅島〜八丈島付近に形成されたが、その後、3月上旬に例年よりも
1ヶ月ほど早く勝浦沖に漁場が形成された。魚体は、3月初旬に小型魚が見られるように
なったが、中旬には再び中大型魚主体となった。4月上旬以降、小型魚主体となり、
尾叉長は41〜44cmモードを示している。
伊豆諸島海域の漁況
伊豆諸島海域の曳縄漁は、例年よりもやや早く2月中旬に本格化し、3月は不安定な漁
模様であったが、4月上旬には八丈島南西海域〜青ヶ島周辺海域にかけて漁場が形成
され、旬別水揚げ量はピークに達した。特に、4月3〜6日にかけて八丈島で体長37〜
50cmを中心に148トンの水揚げを記録した。その後は3月と同様に漁場が安定せず、低
調な漁模様であった。なお、伊豆諸島における漁期中の黒潮の流路は、N型基調で、
水温も平年よりも2〜3℃高めに推移した。
八丈島における各月の水揚量と延べ操業隻数は、2月92.4トン(598隻)・3月206.8トン
(1814隻)・4月276.5トン(1441隻)・5月45.4トン(535隻)で、合計621.2トン
(4389隻)であり、昨年同期(749.5トン)と比較して82%であった。
3.近海まき網漁況
近海まき網漁は、5月中旬に犬吠埼沖の34゜〜35゜N・145゜〜146゜E付近から始まり、
30〜150トンとまとまった漁獲がみられた。その後も黒潮続流域周辺34゜〜36゜N・
143゜〜148゜Eあたりに漁場が形成され、現在も好漁が続いている。北部太平洋まき網
漁業による5月の水揚げ状況は、カツオ約7323トンで、前年比167%であった。
魚体は43〜45cmモードが主体で、群はハネ、鳥群が多い。
3)東北海区における竿釣漁況の見通し
1.漁獲量:40,000〜45,000トン
根拠 (1)肥満度と東北海域年間漁獲量との相関関係
(2)海洋環境要因および漁期の遅速による予測
(3)黒潮前線の南側および本邦南岸域の漁況の経過
(4)漁期前魚体情報および公庁船による小型魚発見情報
(5)5月および6月上旬の海況並びに今後の海況見通しとの関連
2.魚体 : 現在1.5kg(42〜43cm)で、秋に2.5〜3kg(50〜52cm)になる群が
主体となる。
根拠 6月上旬までの黒潮前線から伊豆近海における漁獲物
3.漁場 : 来遊群の北上経路(143゜E〜144゜E、146゜E〜147゜E)
主漁場(38゜〜40゜N、143゜〜145゜E)
根拠 海況の現況と今後の推移および近年の漁場分布
4)参加機関
岩手県水産技術センタ−
宮城県水産研究開発センタ−
福島県水産試験場
茨城県水産試験場
神奈川県水産総合研究所
静岡県水産試験場
和歌山県水産試験場
三重県水産技術センタ−
高知県水産試験場
宮崎県水産試験場
鹿児島県水産試験場
沖縄県水産試験場
塩釜市産業部水産課
千葉県立安房水産高等学校
静岡県立焼津水産高等学校
三重県立水産高等学校
東京水産大学
東海大学海洋学部
漁業情報サ−ビスセンタ−
海洋水産資源開発センタ−
日本鰹鮪漁業協同組合連合会
全国近海かつお・まぐろ漁業協会
東北農政局統計情報部
水産庁漁政部国際課
水産庁資源管理部遠洋課
水産庁資源生産推進部漁場資源課
遠洋水産研究所
東北区水産研究所
参考:
なお、全て1998年のデータ