東北区水産研究所長の挨拶


  東北区水産研究所(東北水研)は、2016年に水産大学校と統合しスタートした国立研究開発法人 水産研究・教育機構の研究所として、前身の水産庁研究所時代から70年近くにわたり日本有数の好漁場である東北太平洋に面した拠点により、主に東北海域における海洋環境・生態系・水産資源、 ならびに沿岸重要種の増養殖技術等に関する調査・研究・開発を行ってきました。折しも現在、70年振りの漁業法抜本改正を伴う水産改革の只中にあり、我が国の水産界、本地域の水産界、水産研究に関わる情勢は大きな変化の時を迎えています。水産研究・教育機構も、日本周辺の豊かな水産資源の持続的利用と水産業 の成長産業化に向け、最善の科学的貢献ができるよう体制を整えより一層の努力を続けていくところです。

  ここ東北水研では、暖流(黒潮系の暖水)と寒流(親潮系の冷水)が混ざり合い多様な生態系が形づくられ豊かな恵みをもたらす東北海域を主担当海域とし、海洋環境モニタリングや海況予測・長期変動に関する研究を進め、物理的・化学的・生物的な環境と水産資源との関係解明に取り組んでいます。 また、東北沿岸域の底魚資源や当地域を根拠にするサンマやアカイカ資源について、豊かで持続的な利用を実現する資源管理に役立つ科学的情報の提供に取り組んでいます。ヒラメやアワビ等の沿岸重要種を効率的に利用・生産するための資源管理や増養殖技術の開発・実用化、古来より重要な漁業資源として利用されてきた サケのふ化放流についての技術普及並びに回帰率向上等に関する研究開発にも取り組んでいます。開発についても、継続して実施する必要があると考えています。

  さらに、東北水研は引き続き、水産研究・教育機構における震災復興の現地推進本部として、機構の各組織、大学・水産業試験研究機関及び 行政機関等と連携・協力し、東日本大震災で被害を受けた生産現場の資源・環境の状況調査など種々の活動を継続し、研究開発成果の普及なども通じ、震災からの水産業の復興・再生に取り組みます。

今後とも皆様のご支援とご指導を賜りますよう、お願いいたします。        

国立研究開発法人水産研究・教育機構
東北区水産研究所 所長 小倉 未基